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TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

ヘイケボタル2014 / 07 / 09

秩父の横瀬町寺坂棚田に早めに着いたので、下見を済ませ温泉で時間を潰した。
ゆでダコになって戻ったのは、カジカが鳴きツバメが飛翔していた薄暮の時刻であった。ワイフとゆっくりと昏れる情景を楽しみつつその時を待っ。

いつの間にかツバメの姿もなく、コウモリとカエルの合唱が始まった、いよいよである。

「あっ!」と連れが発した。

ヘイケボタル(平家蛍、学名: Luciola lateralis)は、コウウチュウ目ホタル科
ヘイケとゲンジの生態はかなり違う。大きさはゲンジ♀2㎝、♂1.5㎝、ヘイケ♀1㎝で♀がやや大きい。飛び方、ゲンジ曲線的、ヘイケ直線的。生活環境も違いゲンジの幼虫は里山の小川や山間部の渓流域に棲むが、ヘイケは里山の流れが穏やかな止水域に棲み、渓流域には棲まない。

幼虫の食べ物
ヘイケはゲンジと違い何でも食べる雑食性の庶民派ある。落ち葉や藻類、弱ったオタマジャクシやヤゴなどを食べ、また泥や砂の中に含まれる有機物などを食べて育つ。ホタルは清流に棲むと思われがちだが、ホタルの餌であるカワニナやタニシ、モノアラガイ(物洗貝)などは適度な家庭排水が流れ込む場所を好む。いわゆる川や沼を奇麗にしてくれる掃除屋さんでもある。

成虫の発光パターン
ゲンジは全てが同調して一斉に明減するが、ヘイケはてんでバラバラに点滅する。ちなみにゲンジの明減間隔は地域によって違うのです。それは、まるで方言で喋っているような差異が見られるのだ。東日本は4秒間隔、西日本は2秒間隔。その中間あたりは両方が見られる。ヘイケは北海道で約1秒間隔、本州以南では約0.5秒間隔で点滅、それは気温に影響されていると言われている。また雌雄でも点滅間隔は違う、飛翔中の♂は急いているのか早く、♀は焦らし気味に少し遅い。発生期間も長くゲンジのように短期間に大量発生とはならず、ヘイケは長期間ゆえ密度は決して高くはない。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆☆)」
「露出の塩梅が難しい」
ヘイケはゲンジのように乱舞するのではないので、素朴さこそがこの画の命と考え、田んぼが分かるように一発撮りした。(ゲンジボタルは次回公開予定)

前回のヒメボタルはこちら
http://www.sci-museum.jp/files/pdf/study/universe/2014/07/201407_16-17.pdf

ヘイケはゲンジと違い光り方が弱く、なおかつ刻々と変わる残照の影響で、明暗の兼ね合いが難しく、露出設定がきわめて難しい被写体ゆえ撮影難易度(☆☆☆)。こればかりは経験がものを言う被写体でもある。事実アマチュアカメラマンが4組ほどいたが撮影に失敗してそうそうに退散した。原因はピントが合わない、シャッターが押せないなどなど・・・。
そこで?
オートでは暗くてピントなどが使い物にならないので、総ての設定をマニュアルする。
かなり暗いが残照下では当然長時間露光は無理と考え、絞開放f/1.4でシャッタースピードをギリギリ6秒と決めた。当然この露光タイムでは飛翔跡はあまり美しくないと思えたので、素朴さに重きをおいて、
「灯り初め」の幽玄の世界を狙ったのである。

レンズは最新のシグマのArtライン50mm F1.4 DG HSMをセレクト。明るくて見やすいが、大きくて重たい代物である。しかしながら切れ味が素晴らしく、ボケも率直で二線ボケも見られず、いまお気に入りの標準レンズである。そう、良いレンズは大きくて重たい傾向がある。

風雅な俳句を一発
馬の屁に 吹き飛ばされし 蛍かな   小林一茶

カメラ設定
Nikon D800, 絞り値:F1.4、シャッタースピード:6秒,ISO感度設定:400、レンズ焦点距離50mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1/2、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:風景、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像)

使用機材

Nikon D800, シグマArt50mm F1.4 DG HSM、レリーズ、三脚:GITZOマウンテニア2型4段GT2542

POSTED BY:
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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