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TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

アジサイの花とアカシジミ2014 / 06 / 30

午後2時頃、お天道さんが出そうもないので、アジサイでも見に行くかとワイフを誘い、西に車を走らせた。
実は、虫達がアジサイの(装飾花)に呼び寄せられ、小さな花(両性花)から何かを吸うシーンが撮りたくて、ここ数日そのタイミングを待ち侘びていたのだ。
雑木林が近くにあるアジサイ園に到着、運良く雨があがりシットリとしたアジサイをひとつひとつ巡って歩く・・・。
突然、
ヒラヒラと見覚えのある飛翔の蝶が目の前に現れアナベルに止まった。
それは、まさにイメージしていたアカシジミ!
水滴の付いた小さな花(両性花)に、口吻(こうふん)を差し込み何かを吸っているではないか。
水か、それとも他のミネラルを含んだものを飲んでいるのだろうか・・・、などと疑問の雨がザーザー降り出す。
実はアジサイには蜜がないのだ。

アジサイ(紫陽花、学名 Hydrangea macrophylla)ユキノシタ(アジサイ)科
日本原産のガクアジサイが原種であり、ヨーロッパで品種改良されたものがセイヨウアジサイである。
狭義ではアジサイと言うとガクアジサイをさし、またはホンアジサイとも言う。
開花は5月末〜7月。花色(萼)は白、青、紫、赤とあり大きく発達した装飾花をもつ。
ご存知の方も多いだろうが、アジサイの花はこのアカシジミが吸っている小さな花が本来の花なのだ。
セイヨウウアジサイの場合、萼の下に隠れているが、よく見ると小さな可愛らしい花があるのが分かる。
その周りの花びらのように見えるのが「萼」であり装飾花とも言う。
アジサイは装飾花(不完全花)と両性花(完全花)の2種で構成されている。
なぜ両方の花があるのだろうか。
それは、目立つ装飾花の色で「チョウ」や「ハチ達」を招きいれ受粉を促していると言われている。
アジサイの花の(萼)色は土壌の酸性度「pH」により花色が変わる。
一般に酸性が高ければ青、アルカリ性が高ければ赤になると言われている。
アジサイには蕾、葉、根にアミダリン、アントシアニンなどの毒が含まれている。

アカシジミ(赤小灰蝶、Japonica lutea チョウ目 シジミチョウ科 ミドリシジミ亜科)

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆☆)」
「本当の花の場所を説明する」
主役はアジサイでアカシジミは脇役である。
そこで、両性花に止まってこそがこの画の命である、と考えその場所が分かる画作りをしたかったのである。
もし、装飾花(萼)に止まった写真ならば本来の狙いが捉えられていないので失敗と考えた。
ここ数日、アジサイを求めて色々な処に足を伸ばしたが、どの虫達もいまひとつ満足できなかった。
やはり脇役には雨の似合うチョウがいて欲しい・・・。
さらにパンチの効いた色のアクセントが欲しくて、雑木林近くのアジサイ園のここならば出会えるのでは、と出かけたのである。
ここには、アカシジミの食草が「コナラ、カシワ、ミズナラ、アラカシ、クヌギなど」どっさりと生えている。
もし、運があるならばイメージに出会えるかもしれないと思えたのである。
果たして、運あって待ち侘びたイメージに出会えたのだ。
具現化するために、アカシジミの翅が平行になるのをジックリと待って撮影した。
前翅外縁が丸みをおびて、腹部がやや大きく見えるので♀ではないだろうか・・・。
撮影自体は「☆」だが、この場面に出会えるのは運と根気が必要で「☆☆☆」とした。

カメラ設定
Nikon D800, 絞り値:F9.0、シャッタースピード:1/640秒,ISO感度設定:800、レンズ焦点距離200mm、露出モード:マニュアル、露出補正:±0、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:スタンダード、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6使用(Rawデータ現像/トリミングあり)

使用機材

Nikon D800, AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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