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TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

ターコイズグリーンに輝くミドリシジミ2014 / 06 / 23

早朝6時、秋ガ瀬公園に到着。何故だか早く着いたはずなのに気が急いていた。車のトランクからウェーダーを引っ張りだし、もんどりうって履き替える。果たして今朝は君に出会えるのか一抹の不安を覚えているのだ。何故なら、君の出現が早い年もあれば遅い年もあるから・・・。

例年、出現実績のあるハンノキ周りの開けた場所を探す。
ほどなく、B型、B型と続けて同じ形の♀が見つかるが、なかなか新鮮な♂が見つからず1時間ほど経過したその時。

「♂」登場!

それも、翅を開いている奇麗な個体が目の前2m程の距離に現れたのだ。
私はまるで獲物を捉えた猫みたいに、ソロ〜リとベストポジションへ水音も立てずに移動する。
鱗粉の向きが影響しているのであろうか?、頭側に回り込むと早朝の太陽光を受け翅表がよりゴージャスにターコイズグリーンに輝きを増している。
それは、徹夜明けの目には鮮やかすぎる美しさだ!

ミドリシジミ(緑小灰蝶、学名:Neozephyrus japonicus、アゲハチョウ上科、シジミチョウ科)
日本にはミドリシジミと名のつくシジミは13種。
この蝶も前々回の「ウラナアカミシジミ」とほぼ時を同じくして、梅雨時に現れるゼフィルスである。
日光を浴びると翅を広げ♂は写真のようにターコイズグリーンに輝く。
♀は翅表が、血液型と同じようにA型,B型,O型,AB型といる。
8時過ぎあたりから♂は樹上でテリトリーを張り、近づくものを追い払う。
そして夕刻になると黄昏飛翔が始まる。
幼虫はカバノキ科のハンノキやミヤマハンノキなどを食草とする。

この時の撮影技法「撮影難易度3星表記(☆☆☆)」
「ベストポジション」
ターコイズグリーンの輝きがこの画の命と考える。15年程前になるだろうか一時期熱帯魚と水草にはまり、ディスカスを沢山育てていた。ブリリアントターコイズブルーやターコイズグリーンに輝くディスカスの色に引き込まれていたせいか、ミドリシジミのこの色がたまらなく好きなのである。
前回の「ウラナミアカシジミは翅裏」が美しく、今回の「ミドリシジミは翅表」がとても美しいと私は思っている。そう、あの時のディスカスの輝が蘇るのだ。
そこで、どの位置から狙ったら一番美しく輝くか、周りをぐるりと一周してベストポジションを探し出す。
やはり頭側からが目の覚めるようなターコイズグリーンに輝くので、その位置に移動して慎重にフォーカスを合わせ撮影した。
撮影自体はそれほど難しくは無いけれど、翅を広げたシーンに出会える確率はとても低く理想のポジションを確保しづらいから「☆☆☆」としておきましょうか。
無論、いる所にはいるのでしょうが東京近郊では生息数が少なく見つけるのが難しい。そんな数少ないチャンスを確実にものにするには長めの望遠レンズがオススメです。
その訳は、前後を奇麗にぼかし主役をより強調したいから。また、羽化したてはあまり敏感ではないので近づけるが、それ以外は敏感な個体もいるからです。
また、成虫はクリの花などの蜜を吸うがここではクリの樹がないので葉っぱの上の朝露などを吸う場面が時々見られるけれど、このような状態になると食事に忙しくなかなか翅を広げてくれないので、つい「早くお腹一杯になって広げてよ・・・」などとつぶやくのである。

カメラ設定
絞り値:F6.3、シャッタースピード:1/250秒,ISO感度設定:400、レンズ焦点距離280.0mm、露出モード:マニュアル、露出補正:-1/3、ホワイトバランス:オート、ピクチャースタイル:風景、Raw。

使用ソフト
PhotoshopCS6(Rawデータ現像に使用、トリミングあり、最終画像処理に使用)

使用機材

Canon EOS 5DMⅡ/EF70-200mm f/2.8L IS USM + EXTENDER EF1.4X

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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