それぞれ推定1000年以上の歳月を生き延びてきた、まことに強運の持ち主のサクラ達である。
その生命力に畏敬の念をもって、大勢の老若何女が日本三大桜のもとに訪れる。
先日、京都で仕事があり一日早く出発して根尾谷淡墨桜にあいに行った。
大垣から樽見鉄道の2両連結の電車に乗り込むと、東京の通勤ラッシュなみの大混雑。
どんな人たちが乗っているのだろうかと車内を見渡すと8割ほどが老人達であった。
それにしても、日本のおばちゃん達は好奇心と行動力に満ちあふれている。
また、その中の数人は本格的な一眼レフを肩に下げているではないか。
記憶は曖昧だが、どこかのプリンター会社の調査で、家庭用プリンターの最大出力数が一番多いのは40〜50代のおばちゃん達であると書いていた。しかり、カメラとプリンター会社の技術者と営業マンはこの車内状況を見たら考えを新たにしなければなるまい。
ところで、この元気なおばちゃん達。
連れ合いはいったいどうしたのだろうか?
まさか、うっとうしい爺どもはおとなしく留守番しとけというわけであろうか。
『見かぎりし 古郷の桜 咲きにけり』 一茶
根尾谷淡墨桜
所在地 : 岐阜県本巣郡根尾村
推定樹齢1500年のエドヒガンザクラ。継体天皇お手植えになり、別れを惜しみ次の詠歌一首を遺された。
「身の代と遺す桜は薄住よ 千代に其の名を栄盛へ止むる」
大正時代には大雪による大枝のボッキリがあり、それを機に樹勢が著しく衰えて来たとの事。
昭和24年に山桜の若根238本を根継ぎしたほか、いろいろな保護がつづけられ回生がはかられた事が知られている。
他の三大桜も同じように、近年は樹の空洞が広がり老化がすすんでいるが、樹木医や地元民により手厚い看護で守られている。
淡墨桜は咲き始めがピンクで、しだいに白い花びらになり、散る間際に,墨をさしたような色に変わる。
山高神代桜
所在地:山梨県北杜市武川町山高2763
樹齢1800年とも2000年ともいわれる。
エドヒガンザクラ。
山高の「実相寺」の境内の現存するこの桜は、日本最古最大巨樹である。
日本武尊が東征の帰り道、この地を訪れ記念にお手植えされたおり「神代桜」と名付けられたとのこと。
その後、日蓮聖人がこの木の衰えを見て、回復を祈ったところ再生し「妙法桜」とも呼ばれる。
三春の滝桜
所在地 : 福島県田村郡三春町大字滝桜久
推定樹齢1000年のベニシダレザクラ。
滝桜は、薄紅の花が流れ落ちる滝のように咲き匂うことから名付けられた。
ちなみにこの滝桜は1611年12月2日慶長三陸地震8,1から明治三陸地震8,2〜8.5、昭和三陸地震8.1、そして今回の地震東北地方太平洋沖地震9、4回経験している事になるが、そこへ原発事故が重くのしかかる。
この画は去年の4月24日撮影。震災直後にもかかわらず車の渋滞が高速の出口まで延々と連なっていた。
日本三大桜中では最後に咲く桜で、これから見頃を迎える。
この時の撮影技法(SIGMAの実力)
桜の撮影では、高解像度カメラが求められる被写体のひとつでもある。
ちょっとだけこのカメラの特徴を説明します。
「Foveon X3ダイレクトイメージセンサーは、RGB全色を3層で取り込むことができる画期的なフルカラーイメージセンサーで、原理的に偽色が発生しない為、ローパスフィルターを必要とせず、光と色の情報を余すことなく取り込むことができます。
4,600万画素の高画素のフルカラー情報により、立体的で臨場感のある精緻な画像が得られる」シグマのサイトから引用
この説明のとおり、うまくツボにはまればフイルム並みの発色を得られ、桜の花びら一枚一枚見事に解像し立体感のある画は見事。
ただし、総ての動作は緩慢で大型カメラを扱うような慎重さが求められる。
パッとカメラバックから取り出しサクッと撮影するのは出来ない事はないけれど、はっきり言って向きません。また、Raw現像にはSIGMA Photo Pro5.2の専用ソフトを使うしかないのがチョット面倒でもある。しかし、カメラを操る感覚は久し振りで心地よい。
根尾谷淡墨桜
使用機材:SIGMA SD1 Merrill,17-50mm。三脚ベンロカーボンネオフレックス
カメラ設定
絞り値:F/11、シャッタースピード:1/125秒,露出モード:マニュアル、露出補正:−1/2段、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ISO感度設定:100、ピクチャースタイル:スタンダード、35mm換算焦点距離25mm、ROW現像ソフト:SIGMA Photo Pro5.2、仕上げソフト:Photoshop CS6
山高神代桜
使用機材:Canon 5D MarkⅡ、CANON 17-40mm。
カメラ設定
絞り値:F/11、シャッタースピード:1/250秒,露出モード:マニュアル、露出補正:−1/2段、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ISO感度設定:200、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離24mm、ROW現像ソフト:Lightroom 4、仕上げソフト:Photoshop CS6
三春の滝桜
使用機材:Canon 5D MarkⅡ、CANON 17-40mm。
カメラ設定
絞り値:F/13、シャッタースピード:1/80秒,露出モード:マニュアル、露出補正:−1/2段、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ISO感度設定:100、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離17mm、ROW現像ソフト:Lightroom 4、仕上げソフト:Photoshop CS6
POSTED BY:
TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家
このページのトラックバックURL
トラックバック一覧
このページへのコメント一覧
コメントを投稿
(初めて投稿される方のコメントは管理者の承認が必要となります。ご了承ください。)