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TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

エゴヒゲナガゾウムシ(ウシヅラヒゲナガゾウムシの交尾)2011 / 08 / 10

エゴノキの実に、牛面の奇妙な奴らがいる。
大きさは体長6〜9mm程度。なんと、驚くなかれ♂は左右に牛のような角があり、複眼は角の先端にあるのだ。
その容姿から別名「ウシヅラヒゲナガゾウムシ」とも呼ばれている。
♀がエゴノキの実に夢中で穴を開け始めると、その様子を伺う♂が物陰に控えていた。
♀は適当な大きさの穴を掘り終えると、くるりと向きを変え、お尻を先ほど開けた穴に差し込み産卵を始める。
と、先ほどの♂が後ろからゆっくりと近づき何度か触覚で♀の背中を撫で、お尻を嗅ぐような行動を始めた。
♂は産卵に没頭している♀の本能の間隙をついて、ひょいと♀の上に飛び乗り交尾を始めた。
暫くして、♀は本能から目覚めたのか、産卵を止め逃げ始めたが、生殖器はしっかりと繋がったまま実を半周ばかり移動する。(写真のシーン)

♀は♂を振り切ると、再び新しい実に穴を掘り始めた。
すると、また別の♂が匂いを嗅ぎ付けたのか2頭ほど物陰から様子伺っている・・・。
♀はひたすら産卵に専念し、♂は新たな♀を求めて動き回るのである。
昨今、本物の牛は放射能汚染騒ぎで検査結果が問われるご時世。
無論エゴヒゲナガゾウムシの幼虫の餌はワラではなく、果肉には有毒物質サボニンを含む果実をかじる。
天敵である鳥ヤマガラ以外の鳥が食べる事は少ない実でもある。
不思議だが、ヤマガラが実をあちこちに隠してくれる事から、子供達の生存率が高くなるのをこのお母さんは知っているというのだろうか?

鳥に関して参照文献、“野鳥と木の実ハンドブック”

エゴヒゲナガゾウムシExechesops leucopis甲虫目ヒゲナガゾウムシ 科
インドシナから東アジアにかけて広く分布するゾウムシの一種で、 日本では本州、四国、九州に生息。
♂ は左右に牛のような角があり、複眼は角の先端にある。
その姿から別名ウシヅラヒゲナガゾウムシとも呼ばれる。
7月〜8月頃産卵を終え、子供は実の中で育ち翌年の6月頃蛹になる。
一部の個体は一年以上を休眠状態で過ごして(休眠遅延)、二年目以降に羽化してくる。
そのせいか個体差が大きい。
また、本種のオスはメスよりも数日早く羽化する雄性先熟。
その他に、釣りの餌とし利用される。実の中の幼虫はチシャ虫(白い色)と呼ばれ、ウグイ、オイカワ、フナなどの釣りの餌として効果がある。
エゴナガゾウムシにとっては人間も天敵というわけだ。

撮影地
いこいの森公園、西東京市「以前は原子核研究所址。東京大学原子核研究所、通称核研(INS)沢山のエゴノキが植えられている。

参考論文
http://www.metro-u.ac.jp/gakui/0510_0603/0510_0603rigaku/1226_r_katei_sinsa.pdf#search=’エゴヒゲナガゾウムシ

この時の撮影技法(ストロボで動きを止め、暗部の詳細な描写をめざす)
今回のような、小さな昆虫を撮影するには、ストロボは必須です。ストロボを使う効果は3つほどあります。
1 動きを止め、手持ブレを押さえる。
2 暗部を浮き上がらせる。
3 被写界深度を稼ぐなどです(被写界深度については「秋を告げるクロナガアリ」を参照。
これらの問題点をクリアするために今回はニコンのストロボ「ニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1」を使用。
いろいろとある中でこのキットは選んで間違いのない良く出来たストロボセットです。
柔らかな光を作る配光アダプターを備え、少しの振動で逃げてしまう今回の虫には最適である。

カメラ設定
絞り値:F/16、シャッタースピード:1/320秒,ISO感度設定:400、露出モード:マニュアル、露出補正:なし、ホワイトバランス:オート、測光モード:部分測光、ピクチャースタイル:スタンダード、焦点距離60mm

使用ソフト
Raw現像ソフト:Lightroom3、最終調整PhotoshopCS5使用

使用機材

Nikon D300、AF Micro NIKKOR 60mm 1:2.8、 ニコンクローズアップスピードライトリモートキットR1, SB-R200用配光アダプター SW-11使用

POSTED BY:
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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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