三脚を担いでねっとりとした空気の中をダラダラと歩いていた。
なにやら雲行きが怪しい。
「そろそろきりあげるか・・」と、三脚をたたみながらオカトラノオとその周りをチェックする。と、視線の先に見覚えのあるシルエットがチラリと目に留まった。
「やっぱりいましたか!」それも2匹が寄り添っている。
もしや・・・と、眼を研ぎ澄ます。
それは初めてお目にかかる「ヒダリマキマイマイの交尾」であった。
梅雨、ヒダリマキマイマイ、丁寧にカシャリ!
ヒダリマキマイマイ(左巻蝸牛)有肺目オナジマイマイ科
日本には500~800種以上いるが殆どが右巻きである。
写真の左巻きのカタツムリは珍しく日本では5種いるそうだ。
高温多湿を好み梅雨時になると活発になる。
雌雄同体。交尾は両方のカタツムリがお互いの精子のやりとりをし、両方共に産卵する。
生存率の低さを補うためではと考えられている。
既知と未知
さてさて今日どんな生き物に出会えるかな・・・と、
デジカメを抱えて出撃する。
その日の、その季節の生き物や植物を頭の片隅に留めて、好奇心の固まりでもって生き物を探すのである。
この日の行動時系列。
まず、夏みかんの樹にナガサキアゲハの終齢幼虫を見つける。
次にヤブカラシに級蜜に訪れるハチやチョウを観察。
移動して池の周りのトンボをチェック、運良くギンヤンマの交尾に遭遇したので柵の上に飛び乗り撮影。噴き出す汗を拭いながら約2時間経過。
風向き変わり雲行きが怪しくなってきた。
ここで「頭の片隅」に留めておいた梅雨の象徴のひとつ「カタツムリ」を無意識に探す。
ん!?いました!「既知」のカタツムリです、が・・・でも、なんとなく何時もの様子と比べて変です。
なんと視線の先には、とても珍しい「未知」の世界が繰り広げられていました。
既知から未知への展開、得てして見逃してしまいそうな未知への瞬間にこそ生き物撮影の醍醐味が潜んでいるのかも知れませんね。
この時の撮影技法(ストロボを感じさせない自然な描写と色再現)
暗い環境なので三脚使用。カタツムリのいる環境は得てして薄暗いので、その雰囲気を大切にしたい。
よってアンダー露出で暗く撮る。
交尾中のカタツムリには殆ど動きがないのでセルフタイマーを2秒にセット。
シャッターを押す。
この2秒の間に小型携帯ストロボを手持ちでカメラ左上前方にかざす。
セルフタイマー作動してシャッターが降りたら、露出時間中(1.3秒)すかさず小型ストロボを隠し味程度に1回だけ発光させ撮影完了です。
ポイントはストロボ光を感じさせない自然な描写と色再現をめざす。
カメラ設定
露出設定マニュアル、セルフタイマー使用、シャッタースピード1.3秒,絞りF14(-1)ISO200
使用機材
Nikon D300、VR85 mmマクロレンズ、外部サンパックPF20XDストロボ1灯、三脚ベンロカーボンネオフレックスC-298m8。
POSTED BY:
TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家
西村様、今晩は
いつも情報を教えていただいてありがとうございます。
さて、今日、公園で何気なく撮った蝸牛ですが、よく見ると
「ヒダリマキマイマイ」でした。
西村さんの記事にリンクを張らせていただきました。
事後承諾ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
from oneshot | 2010年07月21 12:20 AM