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TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

カミソリの海へ2010 / 03 / 26

見てみたい・・・と思った。
その鳥はアムール川を離れた流氷と共にオホーツク海にやって来るという。
何時の日だったか記憶は曖昧ではあるが、日本で一番小さな野鳥「キクイタダキ」を目にしたその日から始まった。
ならば日本で一番大きいな野鳥のひとつを見てみたいと思うのが人の常だ、と・・・。
都合良く自分に言い聞かせた故、とうとう羅臼へ来てしまった意である。
まだ夜の明けきらぬ港に立つ、潮風はやはりキリリと冷たくて、髭剃り後のチクリとした痛みが頬に当たる感あり。
デジカメを抱いていざカミソリの海へ。

この時の撮影技法
出航後のスナップの一コマです。
5時30分出航、日の出は6時8分。
薄ボンヤリと国後島が浮かび上がってきた5時50分頃、この画のシャッターを押した。
その時のインスピレーションは、待ち焦がれたワクワク感「逸る気持ち」そんな漠然とした思いを画に出来たら・・・と、考えました。
そこで今回の撮影ポイントは2つ。
①「逸る気持ちのワクワク感」の表現。
②「夜明け前の厳冬海」の表現。
①の表現方法はブルー(寒色系)との補色関係にある船のライトの暖かい色味(暖色系)でワクワク感を演出。
全体の寒々とした色調の中で、ワンポイントの暖かい光が画を引き締めてくれるように感じました。
②の表現方法。
夜明け前の仄暗い雰囲気をローキートーン(-露光による暗い画面の調子)で調整する。
そこで露出はマニュアルで-補正を行い、ホワイトバランスは現像時に蒼海色に調整する。
さらに人の立ち位置バランスも重要と思い、望みの位置に人影が移動するのを待ってスローシャッター1/13を押した。
さて「逸る気持ち」が画に出来ただろうか?

旅のスナップとフィールドノート
私は、道中の雑感スナップを数多く撮ります。
たとえば今回の場合、港へ向かう前に宿の周りでキタキツネをパチリ、港に着いて船をパチリ、出航の様子をパチリ、餌付けの魚の種類をパチリ、漁船内の様子、漁船から見た景色。
宿に帰ると、その土地で食べたもの、その土地で気になった雑誌、パンフレットなどなど手当たり次第にパチリパチリとスナップする。
当然デジタルカメラの画像データには時刻がしっかりと時系列で記録され、後々の手引きメモとして残されているからです。
それと平行して、フィールドノートに時間の許す限り撮影内容を、メモします。
内容は「何時、何処で、誰が、何を、どうした」などを簡潔にメモします。
勿論、地元の人に聞いた話の内容などもメモします。数日後、数年後、膨大な画像データの中から必要な画像データを、フィールドノートのメモを頼りに素早く探し出せるという仕掛けなのです。

カメラ設定
露出設定マニュアル、シャッタースピード1/13秒,絞りF4(-補正)ISO400

使用機材
Canon EOS 5D、24~70ミリF4IS,レンズ(24mmで使用)

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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