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TSUGIO NISHIMURA 西村次雄
フォトグラファー
1973年、九州産業大学芸術学部写真科卒。同年渡米。1979年、「STUDIO BB」を設立。デジタルの可能性にいち早く気づき、雑誌・広告を中心に一眼レフカメラを駆使して活躍中の”IT写真家”である。建築物、料理、人物、商品、そして動物・植物・昆虫と被写体の幅も極めて広い。

SMILE2010 / 02 / 01

「明日の新潟市の天気予報は雪でしょう」とアナウンスが流れた。
ここ1週間ほどKさんと「雪舞うシーンのトラフズクを狙いたいね」と話していたのである。
この雪の予報に敏感に反応した我々は速攻で新幹線座席指定とレンタカー予約を済ませ車中の人となった。
湯沢を通過するころから車窓には大雪が舞っている「フフフッ」・・・と、二人して顔を見合わせ期待が膨らむ。

が・・・、しかし、そうはうまくいかぬがこの世の習わしで、撮影地は事もあろうに青空があざ笑って出迎えてくれたのである。
天気には勝てないので、雪舞うシーンはあきらめてトラフズクを探すが・・・、2日前の猛吹雪で何処へ移動したようでいくら探しても見つからないのである。
我々はちょっとだけ肩を落としつつ第二の目的オオヒシクイに予定変更する。
そこで向かった先は福島潟近くの田んぼである。
ピュッと行きパッと農道に車を止め、警戒心の強いオオヒシクイを車中から狙っていると、11時の方角からオオヒシクイの群れがこちらに向かって近づいてきた。
騒がしく鳴き交わしながら車の上空を飛び去って行く後ろ姿をファインダーで追い続けると、なんとチラホラとSMILEが見えるのではないか。
(なるほど!あざ笑いの意はこれだったか!?)と私は慌ててSMILEにフォーカスを合わせてシャッターを押した。

オオヒシクイ「カモ目カモ科」
国の天然記念物に指定。雌雄同色。日本には「ヒシクイ」とそれよりも少し大きい「オオヒシクイ」の2種がいる。
大きさはコハクチョウより少し小さく98㎝ほどで翼を広げると約2m。
カムチャツカから越冬のために飛来する。
警戒心が特に強い。謎の多いガンで未だ巣も卵も見つかっていないそうです。
ちなみに、名前の由来は菱の実を好んで食べることからオオヒシクイと名付けられた。

この時の撮影技法
「イマジネーションとシャッターチャンス」
前方からの飛翔よりも、後ろ姿の創り出す面白いデザインにハッとして撮影しました。
偶然にも、眉毛と目にあたる2羽が同時に翼を下に、口にあたる1羽が最適の場所に居て翼を上に上げています。
この撮影にあたり私は以下の様に考え行動しています。
まず撮影意図を明確にしつつイマジネーションを絶えず膨らませ、視点を変えて撮るとどのように見えるのだろうか?
大人の視点では、子供の視点では、虫の視点では、鳥の視点では。
そして、とても大切な要素のひとつである天候。
晴れた日に適した被写体、曇ったときに適した、雨の日に適した、雪の日に適した、嵐の日に適した被写体・・・。
と、視点や天候により限りなくイマジネーションが広がります。
不思議と「シャッターチャンスは今だよ」と、毎回笑いかけてくれるような感じがしています。

カメラ設定
露出設定マニュアル、シャッタースピード1/1600秒,絞りF14、ISO400

使用機材
Canon 5D MarkⅡ、300ミリISレンズ

POSTED BY:
tsugionishimura_image

TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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