リコーGRデジタルカメラを構え、
とある神社境内でテリトリーを張るルリタテハに注視していた。
ふとルリタテハだけでは何かが足りないように思へ、
画に深みと味わいを与える背景には何が良いのかと思案した。
大袈裟な表現をお許し頂けるならば、
テリトリーを張るルリタテハには
なんだか哲学者の雰囲気が漂っているように思えてならないのだ・・・。
9/20付けの朝日新聞のコラムに
『漢語的不思議世界』(岩波書店)から引用した「空巣老人」について記事が出ていた。
一部抜粋「▼空き巣狙いの怪老人、ではない。
独り暮らしのお年寄りのことだという。
雛が育って飛び立てば、巣は空っぽになる。・・・」以下略。
当初この写真を公開する予定は全く無かったけれど、
「空巣老人」なる妙な響きに魅せられて、ルリタテハを公開することにした。
ルリタテハ(瑠璃立羽)
黒褐色の翅の表面には鮮やかな水色の帯模様がカタカナの「ノ」字のように入っているので見分けは簡単ですが、
しかし翅を閉じると枯れ葉や樹皮に似てとても見つけにくくなります。
飛翔スピードは高速で、♂は小高い岩の上や小枝などでテリトリーを張り、
近づく者にはご自慢の高速飛翔でもって奇襲攻撃を仕掛け、侵入者の追っ払いに精を出します。
コンパクトデジタルカメラの話
この時使った道具は「GRデジタルカメラ」です。
画作りの道具のひとつとしてコンパクトデジタルカメラを使うの一番の理由は
「持ち運びの利便性」と「深い被写界深度」。
GRはレンズ交換単焦点レンズ(広角28ミリ)が出来ないコンパクトデジタルカメラです。
少しだけこのカメラの歴史をお話しすると、1996年「プロのサブフィルムカメラ」として「GR1」が誕生。
2001年「GR 1v」が発売され、
当時は珍しい非球面レンズを2枚と広角レンズ搭載ながら
コンパクトカメラでは珍しディストーション(歪曲収差)が少なく、
写りの良いコンパクトカメラとして高評価を得ていました。
面白い事に2005年10月「GRデジタルカメラ」が発売されると、
逆に「GR 1v」の人気が再燃し、
中古市場では現在でも高値で取引される希なフイルム式コンパクトカメラとなっています。
言うまでもなくデジタルに変わっても
プロやハイアマチュアに高評価を得ていることには変わりありません。
ちなみに私はコンパクトで手に馴染むフィット感が心地よくフイルム式2台、
デジタル2台を所有しています。
この時の撮影技法
撮像素子(CCD)は1/1.8型サイズ(6.9×5.2mm)800万画素(最新GRⅢはCCDが1/1.7型1000万画素)です。
ちなみにフルサイズは36×24mm。
この小さな撮像素子に800万画素を詰め込むには多少無理があると思われますが、
撮像素子が小さければ被写界深度が深くなり、
広角28ミリレンズの「接写」では背景までボケの少ない写真を簡単に撮ることが出来るのです。
逆にフルサイズの撮像素子の場合その逆ということになります。
コンパクトカメラの隠された利点として、
公園などで撮影中デジタル一眼レフカメラを構えていると
「何かいるんですか?」などと肝心な場面でよく声をかけられ困ることが多いのですが、
コンパクトデジカメなら滅多に声をかけられないのです。
人に警戒感を与えないのも隠された撮影技法のひとつかもしれませんね。
カメラ設定
露出設定マニュアル、シャッタースピード1/125秒,絞りF8、ISO400、マクロに設定。
使用機材
リコーGRデジタル(28mm単焦点レンズ)
POSTED BY:
TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家
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