このウェブサイトを読んでいるという知り合いの女性CMディレクターから薦められたのが、『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』です。
雑役人をしながら、数少ない知り合い以外と会話すらしない”引きこもり”の男は、死後に自室から発見された多くの絵画作品と小説の断章によって、20世紀後半を代表するアーティストのひとりとなりました。
ヘンリー・ダーガーの名前は、回顧展や画集などですでにご存知の方も多いでしょう。
アカデミー短編ドキュメンタリー受賞作家のジェシカ・ユーによるこのドキュメンタリー作品は、彼の作品世界を紹介しながら、シカゴで暮らした時代の”彼の目撃者”によるインタビューによって構成されています。
急激に発展するリアルワールド=都市のなかで、他人との関係を遮断して、自分が築いたバーチャルワールド=非現実な王国にだけ居場所を見出した彼の姿は、奇異に映る反面、とても現代的です。
彼がその居場所で生み出したヴィヴィアンガールズと名づけられた少女たちは、とてもナイーブでセンチメンタルで、そして何よりも怒っているように見えます。
彼の物語は、ジェシカ・ユーによってアニメーションになって本作の中で現実世界にトレースされました。
ダコタ・ファニングのナレーションがついた、そのシーンだけでも、観る価値は十分にある力作です。
POSTED BY:
AKIRA OKAJIMA/岡島朗
有限会社楽脳 取締役
このページのトラックバックURL
トラックバック一覧
このページへのコメント一覧
コメントを投稿
(初めて投稿される方のコメントは管理者の承認が必要となります。ご了承ください。)