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NO.1ロックドラマーを選ぶ(5)ボビー・コールドウェル/Captain Beyond2010.07.16

>やっぱリヴォン・ヘルムですよね?平坂さん
沖さん、そうきましたか。シブいところきましたね。
でも、この人にはかなわんでしょう。

NO.1ロックドラマー:ボビー・コールドウェル/Captain Beyond
ベストトラック:Dancing Madly Backwards

なんだ、その人歌だけじゃなくてドラムも叩くんだ!
そう思った方は現在30代から40代、MTV世代ですね?
「AOR」の第一人者、「You are so special to me」の大ヒットで日本でも一躍有名になったあのボビー・コールドウェル…
ではありません。別人です。同姓同名ってやつですね。

この人のどこが「NO.1」か。
正直言ってテクニックではありません。
「ドラマーにもドラマがある」という部分で「NO.1」なのです。
おやじギャグみたいですが、真面目な話です。

取り上げたアルバム「Captain Beyond(デビューアルバム)」を聴くたびに、彼はきっとこんな気持ちで叩いているんだろうなあ、としみじみ考えてしまいます。
こんな気持ちとは…
「昨日まで壁紙を貼る内装職人だったが、今日からぼくはインテリアコーディネイターだ」
「印刷屋でDTPオペレーターをやっていたら、突然グラフィックデザイナーになれと言われた」
こんな感じです。
もっと言えば、
「スクールメイツから、少女隊に入った」みたいな。

この深ーい意味を理解するには、彼がCaptain Beyondに加入する前にいた、「Johnny Winter And」というユニットでの存在と立場、そしてサウンドを知らなければなりません。

「Johnny Winter And」…呼んで字の如く、”100万ドルのブルースギタリスト”ジョニーウインターさまのワンマンバンドであります。
「オレと、その他バックバンド」というところでしょうかね。
「ベースは余計なフレーズ弾くな。ドラムも出しゃばるな。オレさまのギターソロに合わせてリズムキープさせてりゃそれでよいのだ」
彼らの演奏を聴いていると、すべてそんな感じがします。もちろんいい意味でね。
つまり、「色」があってはいけないわけです。
ヘタクソではダメですが、個性的だったり、特徴的だったり、キャラが立ってたりするのもダメなのです。
ジョニーウインターさまのみが引き立つ、それがバンドメンバーの使命。
つまり、「内装職人」であり「DTPオペレーター」のように、正確な作業のみが求められるポジションだったわけだと。

そして「Captain Beyond」。

「Deep Purple(初代)」のヴォーカリスト・ロッドエヴァンス、「Iron Butterfly」のギタリスト・ラリーリノラインハルトと、ベーシスト・リードーマン、そして「Johnny Winter And」のドラマー・ボビーで構成された、いわゆるスーパーグループとして話題になったわけですが、飛び抜けたスタープレイヤーがいると言うよりは、全員が「主役」的なイメージ。

しかもアルバムを通してコンセプチュアルなテーマ、組曲、ハードロック+プログレッシヴロック…と、ジョニーさま時代の「とにかく全部スリーコード」とは打って変わって複雑かつ難解な世界観と変拍子。
ドラマーであるボビーにも、自己主張とキャラクタライズされたドラミングが強く要求されたわけですね。
ベストトラックに挙げた「Dancing Madly Backwards」はこのアルバムの1曲目ですが、のっけから5拍子です。
ジョニーさまのバックで、ひたすら黒子に徹してきた彼は、一体どんな気持ちで叩いていたんだろうなあ。。
考えるとこちらが緊張してきます。

今まで「言われた通りに線を引け」と言われていた人が、突然「線1本にも意味と感情と魂を込めろ」…
ですからね。
でもこのファーストアルバムを聴く限り、そんなミッションをきちんとこなして、いい味を出していると自分は思います。
客観的に聴くのではなく、叩いているドラマーの身の上や精神状態、置かれている立場などを案じながら聴く。
なかなか味わえない楽しみ方を提供してくれる、実にドラマチックなドラマーなのです。

沖さん、どうです?これぞNo.1でしょう。

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Showken Hirasaka
Camelstudio Co., Ltd.

「ティモシー・リアリー」2010.07.06

先日、映画好きな編集者と話をしていて話題になったのが、この『ティモシー・リアリー』です。
いまの20代30代の方々には、ピンと来ないかもしれませんが、ヒッピー文化(S・ジョブズももちろんその中の重要なひとりですが)の洗礼を何らかの形で受けた人々にとっては、リスト上位の思想的牽引者です。

ポール・デイヴィス監督による、このドキュメンタリームービーは、リアリー自身の貴重なインタビューや伝説の祭典ヒューマン・ビーインの映像などを織り交ぜた構成。
ドラッグ文化や意識革命の実現方法など、当時の息吹のエッセンスを伝えようとしています。
インタビューでは、コンピュータによる新しい権力構造をイメージさせるような言説もあって、興味深いです。

しかしながら、冒頭の編集者とは、「まったく狂ったおじさんだった」とコメディ映画をみる感覚でこの作品を観たと盛り上がりました。
こんな大ボラ吹きいいよね、と。
そして、最後にこんな大ボラは、ありったけの真顔で吹かなければ伝わらないし、エンターテイナーとして立派だと他人事として笑いましたww。

それはともかくとして、この作品の最後、リアリーが亡くなった後の衝撃的な映像は必見です。
こういう作品があるから、ドキュメンタリームービーは面白いと思わされる1本です。

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AKIRA OKAJIMA/岡島朗
有限会社楽脳 取締役