>やっぱリヴォン・ヘルムですよね?平坂さん
沖さん、そうきましたか。シブいところきましたね。
でも、この人にはかなわんでしょう。
NO.1ロックドラマー:ボビー・コールドウェル/Captain Beyond
ベストトラック:Dancing Madly Backwards
なんだ、その人歌だけじゃなくてドラムも叩くんだ!
そう思った方は現在30代から40代、MTV世代ですね?
「AOR」の第一人者、「You are so special to me」の大ヒットで日本でも一躍有名になったあのボビー・コールドウェル…
ではありません。別人です。同姓同名ってやつですね。
この人のどこが「NO.1」か。
正直言ってテクニックではありません。
「ドラマーにもドラマがある」という部分で「NO.1」なのです。
おやじギャグみたいですが、真面目な話です。
取り上げたアルバム「Captain Beyond(デビューアルバム)」を聴くたびに、彼はきっとこんな気持ちで叩いているんだろうなあ、としみじみ考えてしまいます。
こんな気持ちとは…
「昨日まで壁紙を貼る内装職人だったが、今日からぼくはインテリアコーディネイターだ」
「印刷屋でDTPオペレーターをやっていたら、突然グラフィックデザイナーになれと言われた」
こんな感じです。
もっと言えば、
「スクールメイツから、少女隊に入った」みたいな。
この深ーい意味を理解するには、彼がCaptain Beyondに加入する前にいた、「Johnny Winter And」というユニットでの存在と立場、そしてサウンドを知らなければなりません。
「Johnny Winter And」…呼んで字の如く、”100万ドルのブルースギタリスト”ジョニーウインターさまのワンマンバンドであります。
「オレと、その他バックバンド」というところでしょうかね。
「ベースは余計なフレーズ弾くな。ドラムも出しゃばるな。オレさまのギターソロに合わせてリズムキープさせてりゃそれでよいのだ」
彼らの演奏を聴いていると、すべてそんな感じがします。もちろんいい意味でね。
つまり、「色」があってはいけないわけです。
ヘタクソではダメですが、個性的だったり、特徴的だったり、キャラが立ってたりするのもダメなのです。
ジョニーウインターさまのみが引き立つ、それがバンドメンバーの使命。
つまり、「内装職人」であり「DTPオペレーター」のように、正確な作業のみが求められるポジションだったわけだと。
そして「Captain Beyond」。
「Deep Purple(初代)」のヴォーカリスト・ロッドエヴァンス、「Iron Butterfly」のギタリスト・ラリーリノラインハルトと、ベーシスト・リードーマン、そして「Johnny Winter And」のドラマー・ボビーで構成された、いわゆるスーパーグループとして話題になったわけですが、飛び抜けたスタープレイヤーがいると言うよりは、全員が「主役」的なイメージ。
しかもアルバムを通してコンセプチュアルなテーマ、組曲、ハードロック+プログレッシヴロック…と、ジョニーさま時代の「とにかく全部スリーコード」とは打って変わって複雑かつ難解な世界観と変拍子。
ドラマーであるボビーにも、自己主張とキャラクタライズされたドラミングが強く要求されたわけですね。
ベストトラックに挙げた「Dancing Madly Backwards」はこのアルバムの1曲目ですが、のっけから5拍子です。
ジョニーさまのバックで、ひたすら黒子に徹してきた彼は、一体どんな気持ちで叩いていたんだろうなあ。。
考えるとこちらが緊張してきます。
今まで「言われた通りに線を引け」と言われていた人が、突然「線1本にも意味と感情と魂を込めろ」…
ですからね。
でもこのファーストアルバムを聴く限り、そんなミッションをきちんとこなして、いい味を出していると自分は思います。
客観的に聴くのではなく、叩いているドラマーの身の上や精神状態、置かれている立場などを案じながら聴く。
なかなか味わえない楽しみ方を提供してくれる、実にドラマチックなドラマーなのです。
沖さん、どうです?これぞNo.1でしょう。
POSTED BY:
Showken Hirasaka
Camelstudio Co., Ltd.
Bobby と Captain Beyond 大好きです。CBは彼がリーダーであり、作曲も彼ですので、「要求された役割」として生き生きと叩いていると言うよりは、自分がやりたいことをやりたいようにやっている、と感じています。
from おぐら | 2020年04月14 10:24 AM