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「ザ・カンヌ・プレイヤー」2010.08.17

知り合いの若い映画関係者から教えてもらった作品です。
ドキュメンタリームービーというと多少語弊があるかもしれませんが、実際のカンヌ映画祭を舞台に、老獪な映画プロデューサーのサイ・ラーナー氏が”ハッタリ”だけで映画作品の制作を進めていこうとする作品です。

映画が大好きなタクシー運転手、フランクを捕まえて「第2のヘミングウェイ」と名付けて、脚本家としていろいろな関係者に紹介し始めるところから”ハッタリ”がスタート。
サイは、自分が「かつての大プロデューサー」などと揶揄されていることを知っていますが、そこは映画祭期間中のカンヌなので、少し歩けばセレブに出くわす彼は躊躇することなくデニス・ホッパーに監督を依頼したり、ジョニー・デップに主演を交渉します。
そうしたセレブ本人が、”役者”として登場するシーンは思わず笑ってしまいますが、この映画の真骨頂は別のところにあると思います。

それは、プロデューサーの仕事とは何か、です。
しなやかでありながら、自分勝手。わがままでありながら、繊細に人のことを気遣う彼は、人たらしの魅力をいやというほどわかっていて、彼が語る企画(「カンヌ・マン」というこれも笑えるタイトルです)をみんながなぜか信じてしまうのです。
サイが、フランクに対して、かたちのないものを信じ込ませる人間が必要な素行を教え込むシーンなどは思わず唸ってしまいます。

物語は後半大きく展開していきますが、こうしたパロディ作品の中にも、アイロニカルに人間味を盛り込むセンスは素敵だと思ってしまいました。

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AKIRA OKAJIMA/岡島朗
有限会社楽脳 取締役