YOUCHOOSE

about

東宝チャンピオンまつりの功罪2009.09.30

自分が好きだった映画や漫画など、
主に視覚コンテンツのことを書きたいと思います。
初回のテーマは「ゴジラ」です。

ゴジラが登場した1954年から1975年までの約20年間に
15本のゴジラ映画が作られた。
後のシリーズと区別する意味で、
一般に昭和ゴジラシリーズと呼ばれている。

自分は小学生の頃に、東宝チャンピオンまつりという
数本立ての子供向けオムニバスの中の一作品として初めてゴジラに接した。
東宝チャンピオンまつりは、春や夏の子供集客企画で、
毎回ゴジラ映画の新作を上映する訳ではなく、過去作品の再映で体裁を作っていた。
自分が親に連れられ初めて東宝チャンピオンンまつりを訪れたのは1970年。
その際のゴジラ映画は「キングコング対ゴジラ」だった。
子供心を鷲づかみにされた熱烈なゴジラファンが一人誕生した。
その後「モスラ対ゴジラ」「怪獣大戦争」でゴジラ熱は高まって行く。

その3作は1962年から65年にかけて製作された作品で、
自分はロードショー公開から5年~8年後に劇場で観たことになる。
公開1年以内のレンタル流通が当たり前になった現代では考えられないことだ。
でもこれは、結果として幸運だったと思っている。
初期のゴジラ映画は日本独自の怪獣映画というジャンルを確立した秀作が多く、
自分はその初期の作品を心待ちにして劇場で観たからこそ、
由緒正しい(?)ゴジラファンになったと断言できるからだ。

概して昭和ゴジラシリーズは後半に行くほどダメダメである。
1972年に新作として公開された「ゴジラ対ガイガン」などを見直すと、
その手抜きと質の劣化が明らかで「子供だまし」という形容がピッタリとはまり、
続く「ゴジラ対メガロ」などはテレビドラマ以下の寒い笑いに満ちた作品だ。
データを手にしている訳ではないが、東宝チャンピオンまつりの興行的成功が
ゴジラ映画を完全な子供向けに方向転換させたことは明確だろう。

シリーズものを続けるのは難しい。
新しい魅力を提供し続けない限り客足は遠のいて行く。
回を重ねるごとに、ゴジラは擬人化して行った。
人類の味方になり、空を飛んで、プロレスまでやった。よく15作も続いたと思う。
ただ、内容がどんどんと幼稚になって行ったことは、
本当に正しい方向性だったのか?
子供の鑑賞視点はそんなに低いのか?
少なくとも小学生の自分は、人類や子供の味方のゴジラよりも
モスラと戦っている悪役ゴジラの方が強そうで凛々しくて好きだった。

そんなことを反省したのか、ゴジラは1984年に復活して悪役を演じるが、
こちらは違った意味で微妙なシリーズとなった。
それについてはまた別の機会に…。

POSTED BY:
ikegami_image

TAKASHI IKEGAMI/池上隆士
株式会社東北新社 プロデューサー

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生2009.09.11

雑誌『ローリング・ストーン』の表紙で、
一躍有名になった女流カメラマン、
アニー・リーボヴィッツを追ったドキュメンタリー・フィルムです。

裸体のジョン・レノンとオノ・ヨーコが抱き合う写真は、
20世紀を代表する1枚であることに異論をはさむ人はいないでしょう。

このフィルムでは、
『ローリング・ストーン』誌で発表した貴重な作品だけでなく、
編集長などの貴重なコメントも収録されています。

レンズの先に見えるセレブたちの、
あまりにも赤裸々な姿と、
それを可能にした彼女の秘密に迫ろうとしています。

でも、フィルム内で、彼女がもっとも赤裸々な姿になるのは、
子どもたちと戯れているときと同性の恋人と言われる
スーザン・ソンタグとの思い出を語る場面です。

『アメリカの神々』という傑作写真集とともに、
ぜひご覧下さい。

POSTED BY:
okajima_image

AKIRA OKAJIMA/岡島朗
有限会社楽脳 取締役