まだ、「失敗の本質」で書くべきことがありますが、ネットマーケティングのことも。
本書の主旨は、
ネットのマーケティング、広告では、自動最適化して効率をあげる新サービスを、ベンチャーがどんどん提供していく。
一社がすべてを支配することはないから、「悪の帝国=マイクロソフト」のような構造もない。
マイクロソフトみたいな大きな企業はインフラっぽいことしかできないから、ベンチャーが提供する新しいサービス、産業をのせていくしかないよね、ということ。
初版2008年10月6日なので、変化が早いネットの世界では古くなったこともあります。
ネット広告の効果分企業のトップランナーであるOMNITUREは、「まだまだ製品をよくする段階」とインタビューに答えていましたが、09年1月末にWPPグループと資本提携しました。
しかし、そんなことは、本書の価値をさげません。
「広告の周縁が終焉を加速する」は本の帯。
年をとっても、ダジャレだけは言うまいと誓っているのですが、本質を突いています。
新しい「周縁」のマーケティング・サービスとして、クラウド・サービスのお手本「salesforce.com」、全世界のモバイルADネットワーク「admob」などが紹介されていきます。
チョイスもよいし、インタビューもツボするどく、おもしろいです。
しかし、本当に読むべきは「Chapter1 広告からテクノロジーへ」。
急速な技術革新に見舞われた業界に通じる法則がある、という分析。
1)変化は周縁から起こる
2)過渡期には、新旧のサービスの併存する
3)旧サービスは、新サービスの欠点をあげつらうが、どんどん形成は逆転する
4)周縁部分は急速に拡大し、コア部分(旧のこと)はゆっくりと縮小する
4マス広告、ネット広告の新旧プレーヤー間で今起きている「グランズウェル(大きな波)」が、整理して理解できます。前著「次世代広告テクノロジー」とあわせて読むと、より構造的に理解が進むと思います。
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NORIYUKI TANAKA/田中紀之
株式会社ディーツーコミュニケーションズ 事業開発本部 本部長
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