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NORIYUKI TANAKA 田中紀之
株式会社ディーツーコミュニケーションズ 事業開発本部 本部長
NTT DoCoMo、電通を親会社に持つモバイル・マーケティング企業で、さまざまな事業開発のリーダーを務める。見識の広さ、発想の豊かさに加えて、組織を動かしてゆくうえでの行動力や決断力に優れている。世界の歴史やさまざまな文化、アートにも明るく、話題に事欠かない。

「失敗の本質」(1)〜目的と目標2009 / 07 / 10

モバイルマーケティングの会社で、新規事業開発の責任者をしています。
仕事というだけでなく、もともと戦略やマーケティングの本が好きです。
「失敗の本質」は、戦略テキストの定番。「社長がすすめる本3冊」のようなビジネス誌の特集で、常に取り上げられています。
1984年に出版された本書が色褪せないのは、第二次世界大戦以前の、戦略遂行と実行組織における「日本人の癖、気質」」が、現在の企業活動でも生き続けているからだと思います。
本書では、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦と6つのケースで、「戦い方」「敗け方」の組織論的究明を行っています。
「敗け方」の組織論的究明というのは、少し変に感じるかもしれません。
「目的」=戦う理由、「目標」=目的が達成された状態です。
目的と目標が明確であれば、「何をもって成功とするか」が明確であり、「何をもって失敗とするか」も明確になります。
「目標に到達できなければ、失敗を認めて戦争をやめる」ことがしやすくなります。

日本は、これができませんでした。
米国に対して戦争を始める段階で、どのように終戦(講和もしくは占領)するかというプランをもたず開戦し、「必勝の信念」にもとづいて戦い続けました。
どこまで敗けたらやめるというプランがなかったために、原爆を2発落とされるまで戦ってしまった。
本書では、「目的」のあいまいな作戦は必ず失敗すると、繰り返し述べています。
P.269にある「目的はパリ、目標はフランス軍」の引用は、この関係を表しています。
ドイツ軍はパリを占領することが目的で、障害となるフランス軍を撃破するという目標です。
なんか当たり前じゃん、って気もします。
でも、自分の仕事する立場ではどうでしょう。
「社長が言ったから」というだけのプロジェクトはないでしょうか?
うまくいってないのにやめられない、言い出せないとか。
会社の上司、部下にきいてみてください。「このプロジェクトの目的は?目標は?」
端的に答えられないときは、かならず失敗です。

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NORIYUKI TANAKA/田中紀之
株式会社ディーツーコミュニケーションズ 事業開発本部 本部長

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