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NORIYUKI TANAKA 田中紀之
株式会社ディーツーコミュニケーションズ 事業開発本部 本部長
NTT DoCoMo、電通を親会社に持つモバイル・マーケティング企業で、さまざまな事業開発のリーダーを務める。見識の広さ、発想の豊かさに加えて、組織を動かしてゆくうえでの行動力や決断力に優れている。世界の歴史やさまざまな文化、アートにも明るく、話題に事欠かない。

新聞社〜破綻したビジネスモデル2009 / 09 / 03

ビジネス書には「こんな新しい考えとサービスで、ちょーバラ色!」という本と、
「失敗と破綻の実際を論理的に分析する」本があります。

ほとんどは前者。これも大量に読んではみます。
でも、惹かれるのは、失敗の話。

成功のケースは業界や時代をまたぐことが難しくても、
失敗のケースは、
普遍的で自分の仕事にあてはめると背筋が寒くなることが多いからです。

本書は、毎日新聞の常務まで務めた河内孝氏が、
新聞のビジネスモデルの破綻を解説し、氏が考える構造変更案を提示しています。

第一章「新聞社の危機、その諸相」で、人口減少、ネット拡大よる広告収入の減少、
世界に類を見ない販売部数を支える巨額の販売コスト…
などなど要因を分析されており、
読んでいて逼迫した気持ちになります。

高度成長期につくられた「テッパンなビジネスモデル」が、
環境変化で行き詰まっています。

新聞を宅配で読むという習慣は、
一度ロックインできるとこれほど安泰なビジネスモデルはありませんが、
一度やめた、習慣がない層をロックすることは難しい。

「そういうもんだ」を前提にしたビジネスが、
生活者から「それって、本当?なんか変」と思われたときはたいへん。

「就職したらとりあえず定期保険に入らないと」
「今度、車検だから買い替えないと」
「夏もちゃんとネクタイしめてないと」…。

一度、テッパンを味わうと、精度、効率を高めるので、どんどんうまくいく。
さらなるテッパン化にむけて組織はどんどん最適化され、
人材教育もどんどん型にはめていく。

「テッパン」を前提に組まれた構造を変えるのはとてもむずかしい。
「最適化しないほうがいいんじゃないの?」って言うの、ほんとうにバカみたいなので。

過剰適応、成功体験の罠、ゆでガエル。
環境変化を乗り越える戦略などなく、戦略を変更できる人材と組織をつくれるか。
「それって、本当?なんか変」って、生活者に言われる前に言えるのか?

河内孝氏は2006年に退職されましたが、
マイコミジャーナルで「メディアの革命」を連載、講演活動も活発に行っていらっしゃいます。
http://journal.mycom.co.jp/column/media/index.html

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NORIYUKI TANAKA/田中紀之
株式会社ディーツーコミュニケーションズ 事業開発本部 本部長

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