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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2021(2)2021 / 04 / 16

2021年シーズン初戦バーレーンGPは、ハミルトンが辛くも優勝を手にした。
フェルスタッペンは、予選でハミルトンに0.4秒も差をつけてポールポジションを獲り、決勝でもトップを走っていた。
しかし、ハミルトンに充分な差をつけることができなかった序盤に、最初のピットストップでアンダーカットされた。
フェルスタッペンは終盤になってハミルトンに追いついき53周目のターン4でオーバーテイクしたが、直後にコース外にはみ出したために、ハミルトンに順位を譲る羽目になった。

フェルスタッペンは、もう一度パスしようとしたが、先のパッシングでタイヤを使い切っており、もう一度ハミルトンを抜くことはできなかった。
フェルスタッペン自身はスタートからパワーがうまく車輪に伝わらない問題を抱えていた(おそらくはデフの制御系の問題)それがなければ、アンダーカットされることなく、首位を独走して楽々とポール・トウ・ウィンできていただろう。

メルセデスとハミルトンは、決勝レースでのレッドブル・ホンダの小さなマシントラブルによって狭まったパフォーマンスの差を戦略と戦術とドライビング技術を組み合わせて勝利に結びつけた。
過去7年間連勝を続けてきたメルセデスとハミルトンは、単にメルセデスPUパワーによって楽勝していたわけではないことを証明してみせた。

ハミルトンは、レース中に禁止されるまでターン4をコースアウトし続けて周回してタイムを稼いだ(レース中にルールの適用基準を変更するスチュワートは問題だが)。
メルセデスはベストなタイミングでハミルトンをピットインさせてフェルスタッペンをアンダーカットすることに成功した。
その後、ハミルトンは早めに交換したタイヤでフェルスタッペンと変わらないタイムで周回を続けた。
更に、ハミルトンは、終盤ターン4でフェルスタッペンに抜かれたときにブロックと判定されない範囲でアウト側に膨らんでフェルスタッペンがコースをはみ出さざるを得ない状況を作った。
メルセデス・チームはまさにスリム・チャンスを全てすり抜けて優勝にこぎつけたのだ。
メルセデスは未だに総合力でレッドブル・ホンダを上回っている。

角田は、デビュー戦を9位でゴールした。
予選では、Q1ではソフトタイヤで2番手タイムを出して周囲を驚かせた(他のドライバーもソフトタイヤ)。
チームは、決勝を見据えてQ2ではミディアムタイヤでQ3進出を狙ったが、角田はミディアムタイヤをうまく使いきれず13番グリッドからスタートすることになった。
決勝では、スタートで無理をしてデビュー戦を台無しにしないように慎重になりすぎ、順位を一時17番手付近まで落とした。
しかし、そこからのドライビングは見事だった。
マシンのパフォマンスは中断グループではトップクラスではあるものの後方から追い上げるのは全車の気流(ダーティ・エアと呼ばれる)やタイヤを酷使するという点でかなり不利になる。
その中を8台抜いたのは角田の実力を示すものだ。
特に最終盤のストレート入り口でストロールの150m後方にいながら見事なレイト・ブレーキングでコーナーのインに突っ込んでオーバーテイクしたシーンは角田の真骨頂だった。

次は、イタリアのイモラで開催されるエミリア・ロマーニャGPだ。
アップダウンのある中速コーナーが続く伝統のコースだ。
メルセデスが3週間でどの程度の対策を施て来るか、レッドブルは3週間デ小さなネガティブ・ポイントをつぶしてさらに速くなっているかが焦点だ。
予選でレッドブルとメルセデスの間に0.6秒以上の差がつくようだとシーズン前半1/3ぐらいはレッドブル優勢が続くだろう。
角田は、走りなれたイモラなので、予選で6番手以内に入り、決勝のスタートで無理をしてクラッシュしなければ上位に食い込める。
エミリア・ロマーニャGPはジョビナッツィとアルファ・タウリ、フェラーリチームにとってはホームGPとなる。

エミリア・ロマーニャGPは1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ハミルトン、4位角田、5位ガスリー、6位ボッタス、7位ルクレール、8位リチャルド、9位サインツ、10位ストロールかな。 

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