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YUKICHI OTSUKA 大塚雄吉
F1 ウォッチャー
幼少期にF1に魅せられ、50年以上にわたって、日本製のF1が出ていなくても、日本人F1ドライバーがいなくても50年以上にわたってF1を見続けてきた、F1 ウォッチャー。

Formula One 2020(8)2020 / 09 / 04

ベルギーGPは、またしてもハミルトンの圧勝で幕を閉じた。
ハミルトンは、今季7戦5勝と圧倒的な強さで7度目のチャンピオンに向けて突っ走っている。
ボッタスは、ハミルトンから8.4秒遅れて2位でゴールした。
フェルスタッペンは、メルセデス勢に迫ることが全くできず、ボッタスからさらに7秒遅れでフィニッシュラインを横切った。
フェルスタッペンの3.4秒後には今回好調だったルノーのリチャルドが迫っていた。
さらに、リチャルドは使い古したハードタイヤでファーステストラップを記録してみせた。
リチャルドから20秒以上遅れだったものの、オコンも5位でフィニッシュしたから、ルノーのマシンはスパ・フランコルシャンで良いパフォーマンスを示したといえる。

一方、フェラーリは深刻な不振に陥っている。
スパを得意とするフェッテルをもってしても13位、ルクレールは14位と散々なレースだった。
フェラーリの2台は予選もこの位置だったから、これがマシンの実力によるものであることはあきらかだ。
2018年の勝者は、フェラーリのフェッテル、2019年の勝者はフェラーリのルクレールだったから激しい凋落ぶりだ。
しかも、フェラーリの2台は同じPUを積むアルファロメオのライコネンに先を越されてしまった。
もっとも、ライコネンはベルギーGPで過去4勝もしているスパ・マイスターなのだが。

上位3台が、固定してしまった退屈なレースを盛り上げたのは、アルファタウリのガスリーだった。
去年のベルギーGPでは、ジュニアチームのトロロッソ(現アルファタウリ)に降格させられたガスリーだったが、去年の後半から一皮むけた実力アップを果たし、予選でもQ3に残ることが多くなったし、決勝でも、交代させられたアルボンを脅かす速さを見せている。
今回も例外ではなく、ハードタイヤを履いてスタートしたにも関わらず10周目には8番手まで順位を上げた。
運悪く(他のドライバーにとっては運良く)12周目にジョビナッツィのクラッシュによってセフティカーが入り、他車は、フリー・ピットストップを得たが、ガスリーはハードタイヤだったためにタイヤ交換をしなかった。
おかげで一時は4位になったが、27周目にタイヤ交換した時は、16番手まで順位を落とした。
そこから、ガスリーは猛追撃を開始して8位でゴールし、ドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれた。

2020年のF1は拮抗したレースが期待されたが、今のところ、メルセデス一強時代に逆戻りしている。
メルセデスの予選モードが強力すぎてフロントローをとってしまうから、決勝でも、トップを走ることによってタイヤの温度が上がりすぎず逃げ切ってしまう。
そこで、F1では、予選モードを禁止して予選・決勝を通じてモード変更できなくしようとしている。

しかし、これがホンダや他のPUサプライヤーにとって有利に働くとは限らない。
ホンダもレース中にハイ・パフォマンスモードに切り替えられなくなるから、昨年のオーストリアGPのようなことはできなくなるはずだ。
そもそも、メルセデスは予選モードなど使っていなかったのではないかという話まである。

それよりも、メルセデスは、ICE(エンジン)、MGU-K、MGU-Hとバッテリー間のエネルギーの蓄積やトランスファーをうまくやっているようで、これが合法か非合法かはわからないが、明らかにライバルPUよりブースト時のエネルギーが切れるのが遅いように見受けられる。
シングルモード・ルールはイタリアGPから適用されるから、イタリアGPの予選と決勝の結果を見れば、予選モード禁止がマシンの実力を拮抗させることにつながるかどうかが明らかになる。
シングルモードにした結果、メルセデスがさらに手の届かないところに行ってしまう可能性だって否定できない。

次は、イタリアGPだ。
グランプリの開催されるモンツァは、かつては高速カーブでもスピードを落とさなくてもよいようにバンク角がつけられていたことのあるコースで、生粋の高速コースだ。各チームは、空気抵抗を減らすために通常のコース用よりかなり小さいモンツァ用ウイングを用意する。
PUの出力不足を補いたいチームは、できる限りウイングを寝かせて最高速を1Kmでも上げようとする。
大事な場面で単独クラッシュをしてレースの流れを乱すことの多いイタリア人のジョビナッツィにとってはホームレースだ。
フェラーリ、アルファタウリ、アルファロメオ(実はスイスのチーム)にとってもホームグランプリとなる。
今年のフェラーリは、テフォッシを喜ばせるのは難しそうだ。
ベルギーでは、雨に賭けてうまくいかなかったレッドブルがどんなモンツァ戦略を立ててくるか注目だ。

イタリアGPは、1位フェルスタッペン、2位ボッタス、3位ハミルトン、4位リチャルド、5位ガスリー、6位アルボン、7位ペレス、8位オコン、9位ノリス、10位フェッテルかな。

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