イタリアGPは、ハミルトンとボッタスのメルセデス・ワン・ツー・フィニッシュだった。
フェッテルは、ハミルトンから36秒も離されたが、なんとか3位に滑り込んで、フェラーリのホーム・レースで最低限の面目を保った。
フェッテルの4秒後にはリチャルドが迫っていた。
リチャルドは、予選3番手ながら、エンジン・コンポーネントの交換によるグリッド・ダウンしたため17番グリッドからの出走だったが、見事な追い上げを見せてくれた。
5位のライコネンはリチャルドからさらに20秒後方でゴールした。
今年のイタリアGPは予選が雨、決勝が晴れという、全く異なったコンディションだった。
雨が降る中始まった予選Q1は、開始後10分余りでグロージャンが大クラッシュしたため、赤旗が出て長時間中断された後、小降りになったところで再開された。
予選Q3で驚くべき速さを見せたのは、レッドブルのフェルスタッペンとリチャルドで、濡れた路面をものともせず1分36秒台のタイムを叩きだして予選ワン・ツーを決めたかに見えた。ところが、Q3終了間際にスーパーラップを決めて、ポールポジションについたのはハミルトンだった。
ウエット路面では、パワーで勝りトラクションで劣るメルセデスは、かえって不利な面もある。
ところが、ハミルトンは見事なトラクション・コントロールでただ一人1分35秒台を出して見せた。
これで、ハミルトンの通算ポールポジション回数は69となり、単独歴代1位の栄光を手にした。
新人のストロールとオコンが雨の予選で好タイムをマークし、予選4番手と5番手に着けたのは、特筆に値する。
レッドブル勢がグリッド・ダウンとなったため、この二人は、2番手と3番手グリッドからスタートし、決勝でも7位と6位でゴールした。
チャンピオンシップポイント争いは、ついに、ハミルトンがフェッテルを3ポイントリードすることとなった。
今シーズンは、久々に異なるチーム間で最終戦までチャンピオンシップ争いが見られそうだ。
イタリアGPからシンガポールGPまでの2週間、F1界を最も賑わせている話題は、マクラーレンとホンダの決別騒ぎだ。
2015年にホンダがF1に復帰するにあたって、かつて大成功を収めたパートナーであるマクラーレンと組むことによって、かつての栄光を再現できると考えた。
マクラーレンはメルセデスから多額の出資を受け、ファクトリー・チーム扱いを受けてきたが、メルセデスが自社ブランドでシャシーからPU までの全てをやることにしたためトップチームとして君臨することが難しくなった。
そこで、かつて強力なF1エンジンを提供してくれたホンダと一緒にやれば、復活できるともくろんだ。
おまけにPU 代を払うどころかホンダから年間100億円近い資金提供を受ける契約を取り付けることに成功した。
ところが、ふたを開けてみるとホンダのPUは信頼性もパワーも足りなかった。
3年目の今年になっても、優勝はおろか表彰台にも近づけない状態が続いている。
そこで、2018年からは、ホンダと決別し、ルノーPU獲得してアロンソをキープし、チャンピオンシップを戦おうとしている。
一方、ホンダは、マクラーレンにルノーPUを奪われたトロロッソにPUを供給することになりそうだ。
マクラーレンの決断も来年ホンダPUがルノーPUを上回れば水泡に帰すことになる。
2018年のホンダPUが良ければ、2019年はレッドブル本体がルノーからホンダにスイッチすることもありうる。
次は、シンガポールでのナイト・レースだ。ストリート・コースでPUのトップパワーによる差は大きく出ないから、接戦が期待される。
フェラーリとレッドブルにとってはねらい目のレースだ。
ストリート・コースでエスケイプ・ゾーンがほとんどなく、毎年クラッシュする車が出てセフティカーが出動する。
タイヤ交換のタイミングとセフティカーが入るタイミングで明暗が分かれる。
例年、アロンソは、金曜日のプラウティスでエスケープロードに入っているが、グリップ限界を試しているのだろう。
フェッテルはここで勝っておかないとそのあとが厳しくなる。
シンガポールGPは1位フェッテル、2位リチャルド、3位アロンソ、4位ボッタス、5位フェルスタッペン、6位ライコネン、7位ヒュルケンベルグ、8位バンドールン、9位サインツ、10位グロージャンかな。
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YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
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