ハミルトンは2位ロスベルグに19秒近い差をつけて日本GPを制した。
これで2015年のチャンピオンはハミルトンに決まったようなものだ。
最終戦までシンガポールのようなスロー・コースはないし、紳士的なロスベルグは、何が何でもチャンピオンを獲りにいくという気迫にかけるからだ。
フェッテルは3位に入ったが、ピットインのタイミングにもう少し工夫があれば2位も可能だった。
シンガポールGPで、フェッテル・フェラーリが実力で優勝したときはシーズンの終盤は面白くなるかもしれないと期待したが、1レース限りのことだったようだ。
今回もピレリは高いタイヤ内圧を指定してきたが、パワーがものを言う鈴鹿ではメルセデスの行く手を阻むことはなかった。
4位にはライコネン、5位ボッタス、6位ヒュルケンベルグと続き、7・8位にはロータスの2人、9位・10位にはトロロッソの新人2人が入った。
アロンソは、ホンダのホーム・レースで大きなスペイン国旗とアストゥリアス州の旗まで掲げて応援してくれる日本のファンに応えるべく奮闘した。
バック・ストレートでもホーム・ストレートでも蓄積したエネルギーが途中で切れてしまい、ストレートエンドで簡単に抜かれてしまうホンダPUを補うために渾身のコーナリングで立ち向かったが、ドライバーの腕でカバーできる範囲を超えていた。
レース中に、アロンソが思わず「これじゃGP2のエンジンだ」と叫んだが、ドライバーとしてこれ程辛いことはなかったのだろう。
F1に上がって来たばかりのルーキー・ドライバーだったら、F1に乗れるだけでうれしいだろうし、自分もミスをするから遅いのはマシンのせいばかりでもない。
予選や荒れたレースで速いところを見せれば次の年はよりよいチームで走れるかもしれない。
しかし、アロンソやバトンは違う。
彼らは、トップチームにいてチャンピオンを獲ったことのあるドライバーで、キャリヤの最後にもう一度チャンピオンの栄光を手にしたいと思って走っているのだ。
ちょうど、1987年ホンダの最初のホーム・グランプリで逆のことがあった。
当時、予選仕様では1500馬力出ているとされた強力なホンダ・ターボを搭載するロータスがオーバーテイク・ブーストを使ってホーム・ストレートを駆け抜けていく中、抜かれたマシンに乗るドライバーは燃料を持たせるため直線の後半は惰性で走っていたのだ。
当時は無線がなかったからコックピットでなんとつぶやいていたか分からないが、ドライバーとしては悔しかったに違いない。
現在のF1パワーユニットの開発レギュレーションでは、シーズン中に大幅な改良ができないから、シーズンオフの間にどれだけ的をついた改良を施せるかにかかっている。
2015年のシーズン前テストまでの時間は僅か4ヶ月だ。ホンダのエンジニアたちには、1964年シーズン・オフの時のようにがんばってもらいたい。
次は、開催2年目となるロシアGPだ。
ソチの冬季オリンピック会場を取り巻くコースで、ほぼ真円の4分の3になっている2・3・4コーナーが特徴的だ。
ここでもメルセデスが優位なのは変わりがないだろうが、鈴鹿よりは一周のラップタイムが長いので、コーナリング・マシンのレッドブルがどの程度の速さを見せるか楽しみだ。
ホーム・グランプリのクビアトはマシンさえ壊れなければ、良い結果を出して見せるだろう。
ロシアGPは、1位ロスベルグ、2位クビアト、3位フェッテル、4位リチャルド、5位ライコネン、6位マッサ、7位ヒュルケンベルグ、8位アロンソ、9位バトン、10位サインツかな。
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POSTED BY:
YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表
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