2012年最終戦ブラジルGPは、雨が降ったり止んだりする中、このような猫の目天気を最も得意とするバトンが見事に優勝を飾った。
バトンのすごさは、天候とタイヤの変化に応じてドライビングを合わせることができることだ。
2011年のカナダGPでは天候の変化に合わせて頻繁にタイヤ交換をしながら最後は猛烈に追い上げて優勝した。
逆に今回は、天候が変わってもタイヤ交換をせずに我慢して天候が戻るのを待ち最小の交換回数で乗り切った。
そのバトンが今シーズン序盤のマレーシアGPでは全くうまく走れなかった。
シーズン当初は、各チームと各ドライバーがピレリ・タイヤの扱いにどれだけ混乱していたかが分かる。
2位には、最後までチャンピオンシップをあきらめず戦ったアロンソが入った。
マッサは地元ブラジルのファンの期待に応える速さを見せたが(おそらくアロンソに2位を譲って)3位デゴールした。
ポールポジションを取ったハミルトンはヒュルケンベルグとの接触のせいでリタイアせざるをえなかった。
フェッテルはスタート直後セナに追突されてスピンした後、リアの空力パーツにダメージを負った(フロントノーズのパーツと違いレース中に交換することができない)マシンで最後尾から追い上げて7位に入った。
これによって、このレース2位に入ったアロンソを総合で3ポイント上回り、2012年F1ワールドチャンピオンの座に着いた。
もし優勝のバトンがメカニカル・トラブルか何かで終盤にリタイアしていれば、アロンソがチャンピオンとなるところだった。
チャンピオンシップ3位には復帰1年目にもかかわらず全レースを完走し、チャイナGPを除いた全レースでポイントを獲得したライコネンが入った。
可夢偉は15番手スタートだったが、スタート後の混乱に乗じてうまく順位を上げ、一時は4位を走りアロンソとバトルしていた。
しかし、終盤には8位まで後退し7位を狙ってシューマッハを最終コーナーインサイドから抜こうとしたが、イン側を締められて接触・スピンしたために9位に終わった。
鈴鹿を除く今シーズンの可夢偉を象徴するような内容だった。
チームがトップを走るのに不慣れで予選からの運び方がうまくないなどいろいろな要素もあるが、全てがうまくはまれば優勝できたかも知れないGPもあった。
優勝できなかったのは何か足りない部分があるのだろう。
不運の一言で片付けてしまってはいけない。
もしチャイナGPかベルギーGPで優勝していればマクラーレンから招聘されたのは可夢偉だったかもしれない。
現時点で、上位チームの2013年体制はほとんど決まっている。
表彰台以上を狙える可能性のあるチームでシートがまだ確定していないのはロータスとフォース・インディアの各1シートだけだ。
2013年は、2014年にレギュレーションが大きく変わることからマシンの大幅な変更はなく、ピレリ・タイヤも3年目に入るので使い方は分かってきている。
まさに、チーム力とドライバー力の戦いとなるだろう。
2014年のチャンピオンシップはまた5人のチャンピオンたちの熾烈な戦いになるだろうがその中に可夢偉が割って入ってくれることを願って止まない。
2012 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved
POSTED BY:
YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表
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