2011年のF1グランプリシーズンももう3戦が終わってしまった。
オーストラリアGPとマレーシアGPではフェッテルが圧倒的に速かったのでつまらないシーズンになってしまうかと心配された。
ところが第3戦中国GPになって様相は一変してしまった。
ちょっと興行向けに過ぎると思われた今年のF1レギュレーションが巧く作用し始めたのだ。
以前導入したが一旦廃止していたKERSが今年からまた使えるようになった。
KERSは、走行中の動的エネルギーをはずみ車に蓄えて数秒間放出する装置だ。
放出時に80馬力ほどブーストできる。
新しい仕組みDRSも導入された。
DRSはコースごとに決められた直線区間で前車の背後1秒以内に迫った車がリアウイングのフラップを水平にすることができトップスピードを上がる。
性能が劣るマシンでも前車の1秒以内にいれば直線の終わりで追い抜くことが可能になる。
KERSは主に上位チームが下位チームのマシンがDRSを使って追い抜こうとしたときに直線の後半で追いつかれないようにするのに使っている。
とはいっても、ハミルトンなどはKERSをコーナーの立ち上がりなどでこまめに使っているから防戦にしか使えないわけでもない。
KERSやDRSよりももっとレースの不確定要素を増やすことになったのは、今年から使われるピレリタイヤだ。
シーズン開始前は10周ももたないと言われ、開幕してみるとそれほどでもなかったが、タイヤ交換のため最低でも2ストップ、ふつうは3ストップが必要になる。
しかも、ソフトタイヤとハードタイヤの耐久性に大きな差がないうえに、タイヤのグリップの落ちが突然訪れるという特性を持っている。
さらに、1レースで使えるタイヤの数が制限されているから予選でよい位置を占めるためにタイヤ本数を使いすぎると本番で使える新品タイヤが少なくなる。
予選上位に行くためにタイヤを使いすぎると決勝で不利になる。
中国GPで、レッドブルに乗りながらQ1を突破できなかったウエバーは予選でタイヤを使わなかったことで決勝では頻繁にタイヤ交換ができ、18番グリッドから3位まで追い上げた。
もっとも、これは車がレッドブルでウエバーだから出来る芸当だが・・・。
可夢偉はタイヤマネジメントがうまいのとマシンが9-12番手の実力だからいまのところ2ストップ作戦を取っている。
可夢偉といえば、パッシングの巧さは健在で、マレーシアではDRS無しのコーナーで見事なクロス・フェイントを使いシューマッハを抜いていた。
中国GPから3週間空けてトルコGPだ。
第3戦では1・2戦で圧倒的に速かったレッドブルにマクラーレンガ追いついた。
3週間の間にレッドブルは1-3戦でまともに使えなかったKERSを使えるようにしたようだし、フェラーリも風洞の問題を解決して新しいウイングを投入してくる。
たった1-2週間であれだけのニューパーツを用意できるマクラーレンも今回もアップデートを投入してくるだろう。
FIAの目論見どおり今年もエキサイティングなレースが続きそうだ。
トルコは1位フェッテル、2位バトン、3位ハミルトン、4位アロンソ、5位ウエバー、6位マッサ、7位ロスベルク、8位ハイドフェルド、9位可夢偉、10位シューマッハかな。
2011 ©Yukichi Otsuka, All Rights Reserved
POSTED BY:
YUKICHI OTSUKA/大塚雄吉
学会ネット株式会社 代表
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