今回は九州のとある川で黒鯛を狙ったコト。
少年時代、パンツ1枚になって飛び込んだこともある川へ30年振りに行った。
田舎の町は開発され、どんどん姿を変えるけれど、川の風景は変わっていないように思えた。
70~80メートルくらいはある対岸の歩道をすれ違う人の挨拶が聞こえるほどの静寂の中で、
ようやく顔を見せた太陽の光が水面に反射し、近くにいるホトトギスの鳴き声がしている。
都会に馴染んでしまった自分にとって、ここはストレスから開放される、パワースポットなのかも。
「河原に葦が茂ってる オオヨシキリも鳴いている」
題名を忘れたけど、小学生の頃にそんな歌詞の歌を合唱した記憶が甦った。
さて、川で海の魚が釣れるのは何故かというと、「汽水域」だからだ。
汽水域とは河口付近で満潮になると海水が川に入り込んで淡水と海水が混じる区域のこと。
海の魚を狙うとなると、干潮から満潮までの潮が満ちてくる限られた時間での勝負となる。
釣り方は海と全く同じなのだが、塩分濃度などの違いで表層は淡水で下層は海水となるため、
フカセウキ釣りの場合、水面にあるウキは表示されている浮力よりも減ることになるので、
それを考えた浮力調整が必要なことがひとつ。そして川の水は上流から下流に流れるが、
海水は下流から上流に入り込んでくるので、「二枚潮」という現象が起こる。
フカセ釣りにとってはこの二枚潮は難しい状態なので、川の流れが緩んだ時が魚の気配を
見ることができるチャンスタイムなのだ。それにしても、川の流れは想像よりもはるかに速い。
海が荒れた場合は波が立って見た目も凄いが、川の場合は何気ない流れのように見えてもパワーは凄い。
そして海からの水が、その川の流れに逆らって上ってくる大自然の力(月のパワー)を目の当たりにすると、
あらためて「地球って、月ってスゲーなぁ」と感じる。
さて黒鯛を狙う為には、底層に針のついた餌を落とさなければいけない。
しかし、川にも餌とりの魚はいて、ここでは30~40センチのウグイが邪魔をしてくるので、
なるべく餌の付いた針が自然に底を這うようなイメージをして仕掛けを送り込む。
初めての河口釣りで、そんなことを色々と考えながら楽しんでいると、念願のアタリが!
海と違って岩などの障害物が少なく、ラインが切れる可能性も低く取り込みやすいので、
掛けてからは大きな苦労もなく取り込めた。この環境で結果も出て、とても気持ちがイイ。
その他にも鯵も釣れたし、表層ではエイや80~1メートル級の雷魚?が編隊で優雅に泳いでいた。
釣れた黒鯛(40~50センチ:推定10~15歳)は写真の通り、産卵前でお腹がパンパンでしたが、
黒鯛は性転換する魚で、幼少期はオスで歳をとると卵巣が発達して多くがメスに性転換することをご存知ですか?
釣り人は種の保存の為にも、この時期の黒鯛は必要最小限以外をリリース(放流)するのが
マナーですので、撮影後(河原なので草の上)は放流したのでした。
それにしても、前にも「カオス」のことも書いたのですが、僕はこの「汽水域」という言葉の響きが大好きだ。
今の日本や世界を見ていても、何だか汽水域な感じがしませんか?
政治、文化・・・淡水と海水が混じり始めていて、その背景には大きなパワーも感じられるし・・・。
上下左右、どの方向に進んでいくのかは、自らの選択にかかっているのだろうなぁ。
ロッド:SHIMANO 鱗海 06号
リール: SHIMANO BBX 2000
ウキ:GREX 5B
ライン:2号 ハリス:1.5号 ハリ:チヌ2号
POSTED BY:
KOZO KIZU/木津幸三
釣り師・ゲーマー・競馬ライター
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