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SHOWKEN HIRASAKA 平坂彰謙
株式会社CAMELSTUDIO 代表取締役社長
抜群の安定感と驚異のパワー・ドラミングでダイナマイトポップスの音楽を支える、まさにバンドの支柱的的存在。リラックスとのコンビネーションにより最強のリズム・セクションを作り上げる。またDMやCDジャケットのデザインを担当する、ダイポプのアートディレクターでもある。

NO.1ロックドラマーを選ぶ(11)サイモン・カーク/Bad Company2010 / 10 / 01

沖さんの原稿を見て一瞬アセりました。
なに?サイモン??
あ、ちがった。

そちらのサイモンさんも確かにスゴいですが、こちらもスゴいですよ。

NO.1ロックドラマー:サイモン・カーク/Bad Company
ベストトラック:Can’t Get Enough

小学校の教科書なんて、すでに覚えている方のほうが少ないと思いますが、ちょっと調べてみました。
小学校1年生・音楽の教科書には「ぞうさん」「ぶんぶんぶん」「おもちゃのチャチャチャ」…などという曲が載っていますね。
国語の教科書はというと、どうやら今でも「さいた さいた さくらがさいた」というフレーズは健在なようで。

「いきなり、何だよ」と思われるかもしれませんが、もしも「ロックドラムの教科書」というものがあったとしたら、間違いなくこのサイモン・カークが巻頭に登場することでしょう。
そうです。サイモン・カークのドラムこそ、ロックドラム界の「ぞうさん」であり、「さいた さいた さくらがさいた」なのです。
ロックドラマーに憧れ、ロックドラマーを目指すのであれば、まずはじめにサイモン・カークを学ぶべし。
サイモン・カークこそ、ロックドラマーへの”登竜門”なのであります。

その理由を簡単に述べてみましょう。

(1)小学校1年生に「ボヘミアン・ラプソディ」は歌わせない
Bad Companyそしてその前身であるFree。もともとミドルからスローテンポのブルージーな曲調をなりわいにしているバンドのドラマーということもあり、派手な曲芸的プレイをしないのが彼の特徴でもあります。
歌でいえば、4オクターブの音域を出すとか、恐ろしいほどのビブラートをかけるとか、いきなり5声でハモるとか…まあそういうのがない、といったところでしょうか。
初心者・アマチュアにとってはとてもとっつきやすく、「ボクにもできるかも」と思わせてくれるんです。
これは非常に大切なことで、「真似してみようかな」→「お、意外とウマくできた」→「楽しい!」→「もっと頑張ろう!」…
教育的な見地からすれば、たいへん理想的ですね。
つまり、全世界のロックドラマーを目指す青少年(とは限りませんが)にとってロックスターであると同時に、偉大な先生でもあるわけです。

(2)ピアノのレッスンは、「ハノン」から始まる
前述の続きにもなりますが、彼のドラムは(1)とはまた違う意味てロックドラマーのお手本としてふさわしい要素を持っています。
さまざまなリズムパターンでのバスドラムの踏み方、ハイハットの刻み方、フィルインやオカズのフレーズ…すべてが今やロックの「慣用句」とも言うべき基礎的かつ”正しい”叩き方をしてくれているんですね。
ピアノだって、まずはしっかり基礎的な指の動きをマスターしてからでないと始まらない。そんな感じです。
つまりロックドラマーを目指す者にとって、サイモン・カークは「正しいところに筋肉をつける」うえでベストなトレーニング対象とも言えるわけです。

(3)教科書に「YESTERDAY」は載っても、「GIROPPON」は載らない
Bad Company / Free といえば、1960年代終盤〜1970年初頭のいわゆるブリティッシュ・ハードロックの草分け的存在ですが、サイモン・カークは確実にそのドラムワークでこのジャンルの音楽的世界観を確立させました。ある意味、ドラマーを”主役”の一人に押し上げたとも言えます。
昔尊敬する大学の先輩から素晴らしい格言をいただいたことがあります。
「おい、ひらさか。ロックはなあ、カッコいいかダサいかのどちらかしかないんだ」
なるほど…。今仕事に置き換えてみると、デザインも全く同じかなあ、なんて考えてしまいますが(まあそれはいいとして)
つまり何が言いたいかというと、彼がなぜブリティッシュ・ハードロック界で高い地位を築けたか…
彼の生み出すドラミングが、ひたすらカッコいいわけなのですよ。ロックとしてサマになってるんです。
音楽的に優れた楽曲は、作られた時代がいつであれ、何人であれ、国境を越えて教科書にも載るというわけですね。
そう、サイモン・カークのロックドラムはカッコいい! 要するにそういうことです。

かつてギロッポン、いや六本木に「BBA」という名の飲み屋さんがありました。
飲み屋さんといっても、狭い店内の半分がステージで、そこでお店のバンドがロックをガンガン演るわけです。
そしてお客さんもステージに上がって一緒に演奏させてくれるというゴキゲンなところでもありました。
自分も数回酔っぱらったついでにドラムを叩かせてもらったことがあります。
もちろん、サイモン・カークです。Can’t Get Enoughです。
お店の人に聞いたら、この曲を選ぶ人がたいへん多いとか。
カラオケで言えば「北酒場」とか「桜坂」みたいなもんなのでしょうかねえ。

この10月にBad Companyが来日する予定です。もちろん行きます。
なまサイモン・カーク、拝んできます。

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Showken Hirasaka
Camelstudio Co., Ltd.

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