Archive for 2 月, 2010

オオハクチョウのディスプレイは人間臭くて実に興味深い。
例えば、飛び立つときの合図。
家族のリーダーらしき者が「コォーッ」と一鳴き「みんな準備はいいかな?飛び立つよ」と、まるでお父さんが号令を発しているようでもある。
また、子供を引き連れて飛来した際の挨拶も微笑ましい「みんな~!うちの子供達宜しくね~!」と、深々と頭を下げて紹介する姿がまるで子供の公園デビュー時の母親みたいである。
ところで・・・、この写真の彼はどんな口説き文句を囁いているのだろうか?

ディスプレイとは、求愛や威嚇など行うために、鳴き声や動作、姿勢などでより自分を大きく誇示する行為。

オオハクチョウ(大白鳥)カモ目カモ科。成鳥は全長約140cm、翼開長約230cm、体重約10㎏。雌雄同色。
空を飛ぶ生き物の限界体重ともいわれています。
シベリアやオホーツク沿岸で繁殖をして、越冬の為に日本に飛来する冬鳥。

この時の撮影技法
冬鳥の楽園のひとつ涛沸湖(とーふっこ)網走市小清水町を訪れた。
今回のキーポイントは2つ。
ディスプレイ時の①「微笑ましい表情」と環境の②「スケール感」が重要と考えてカメラポジションを決定した。
①はズームレンズ70~200mmの広角側である70mmで二羽を手前に大きく配置し、オオハクチョウの微笑ましい表情と存在感を際だたせることにしました。
②は絞りをf13まで絞り込むことにより手前のオオハクチョウから右上奥の斜里岳までピントがある程度合うようにして、北海道の雄大なスケール感を画にしてみましたが如何だったでしょうか?

寒暖差による結露対策の話
寒いこの時期、温かい飲み物などをすすると途端に眼鏡が曇る友人を目にし笑った経験は誰にでもあるはずですが、まさにこれの親分みたいな結露が寒冷地には潜んでいます。
例えば、氷点下-10℃での長時間撮影後はカメラボディーやレンズは氷みたいに冷え切っています。
この状態で「いい画が撮れた!」と、意気揚々と宿に戻り、温かい室内でいきなりカメラを取り出し画像確認をしようものなら、急激な寒暖差によりカメラボディーやレンズ内で結露が生じてしまいます。
最悪の場合、電気回路やレンズ内に結露が発生し修理不能ということになってしまいます。
そんな不注意による事故を防ぐには、宿に入る前にビニール袋にカメラを入れて密封し、部屋に戻っても室温に慣れるまで数時間はじっと我慢、決して開けてはなりません。
厳寒での結露対策はゆめゆめお忘れ無く。

カメラ設定
露出設定マニュアル、シャッタースピード1/250秒,絞りF13、ISO100

使用機材
Canon 1Ds MarkⅡ、70~200ミリF2.8ISレンズ(70mmで使用)

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TSUGIO NISHIMURA/西村次雄
写真家

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欧陽菲菲には苦い想い出がある。

採点つきカラオケで「ラブ・イズ・オーヴァー」を歌った時のことである。
思いっきり歌の世界に入り込んで、歌マネもせず、自分なりに歌いきった結果、
メロディを教科書通りに歌わなかったのが災いしてひどい点数が出たのである。
「全くこの機械は歌心というものをわかっていない!」
自分の歌唱力を棚に上げて、カラオケマシンに恥をかかされ憤慨したあの日。

それから10何年、紙ジャケ仕様で再発された彼女のアルバムをじっくり聴き終えて、
光り輝くその歌唱力を再発見した時、僕は遅まきながらやっと気がついたのである。
あのカラオケマシンの採点に、決して間違いはなかったのだ、と。

僕がそうであったように、歌謡曲に親しみのある世代でさえも、欧陽菲菲の歌は
「ラブ・イズ・オーヴァー」「雨の御堂筋」あたりの曲をテレビで「見た」程度と
いう方がきっと多いことだろう。
バラエティー番組で垣間見せる、楽しいキャラクターと台湾なまりの日本語トーク。
その印象に邪魔されて、彼女の歌を本腰を入れて聴く姿勢をこれまで持ち得なかった、
というのが僕の正直なところである。

彼女の歌う日本語には、ネイティブ・スピーカーでないゆえのちょっとした癖がある。
それを面白がって、日本人はよく彼女のマネをした。僕も子どもの頃マネをした記憶が
ある。森進一の「おふくろさん」と同じで、一度モノマネの対象になると、その歌の
メッセージや歌手の本質に鈍感になってしまう。僕がその呪縛から払拭されたのは、
物事をいろいろな側面から見る事ができる、いい歳の大人になってからだ。

欧陽菲菲は出身地、台湾でも人気の歌手だった。(現在においては国民的歌手だ)
日本のプロダクションに見いだされ来日。
1971年のデビュー曲「雨の御堂筋」が大ヒット。その年のレコード大賞新人賞を受賞。
翌年には紅白歌合戦に出場。何と、紅白史上初めて出場した「外国人歌手」なのだ。

今でこそ日本人より演歌がうまいジェロが存在するが、当時、ちゃんとした日本語で
ここまで歌謡曲を歌える外国人歌手などいなかったのである。少々発音に癖があろうと、
そこに文句をつける筋合いがあるだろうか。

しかも台湾から海を渡ってきた歌手に「こぬか雨降る御堂筋」って・・・
もし自分が台湾に歌手として連れてこられて、台湾の音楽プロデューサーに
「高雄の六合二路に雨が降ってるのを想像しながら情感込めて台湾語で台湾歌謡を歌え」
なんて言われたら、果敢に挑戦するどころか、こぬか雨降る台北で傘もささずに泣き濡れて、
財団法人交流協会の事務所(=日本大使館)に身を寄せるであろう。
それくらいアウェーだ。この上ない逆境だ。

しかし菲菲は台湾魂でやり遂げた。異国の心を歌いきった。そして大ヒット。
作曲がベンチャーズでありながら何故か大阪情緒あふれる、湿度の高いご当地ソングが
70年代歌謡を代表する大流行歌として今に残るまでには、日本の農家に嫁いだ外国人妻に
匹敵するような、そんな苦労克服物語が隠されている。

と想像する。
本人にも関係者にも聞いてないからあくまで想像よ。

さあ本題、今回とりあげるのはそんな欧陽菲菲の大ヒットデビュー曲が1曲目に収録された
アルバム「雨の御堂筋」。
ビートルズがそうであったように、まだ持ち歌の少ない新人歌手のアルバムらしく、
当時歌謡曲として流行った他の歌手のヒット曲、そして洋楽の当時のヒット曲が、彼女の歌で
カバーされている。
尾崎紀世彦、朝丘雪路、布施明、アダモ、ダスティー・スプリングフィールド、
ジョー・ダッサン、エンゲルトベルト・フンパーデンク・・・
ヒットして間もない、これら素晴らしい歌手たちの名曲を、デビュー間もない欧陽菲菲が
歌う。本人の母国語一切なし。日本語と英語のハンディを背負って歌う。

それがあなた、聴いたらもう、ハンディとか全て吹っ飛ぶくらい、歌がうまいんですよ。
日本の歌謡曲って、捨てられただのあなたを待つのだの、その世界観が「か弱い女性目線」で
描かれたものが多く、歌詞だけ追ってるとジトーっと湿気を感じるのですが、彼女の歌声には
その世界観をパワフルな乾燥機で一気に乾かしてくれるくらいの力があります。
だから今聴いても新鮮。歌謡曲に馴染みがなくてもジャンルを超えて歌が届く。

いや、こりゃもう放っておけないわ。台湾の人気だけで終わらせるのが非常に惜しい歌手だ。
無理な日本語になっても、この歌唱力を日本人にも紹介したい、と当時のプロデューサが
思うのも無理はないですね。しかも、日本語の発音も9割がたマスターしていて、
聴いてて違和感を感じないですよ。もうカバーした原曲を凌駕するくらいの圧倒的な歌唱力。

近年、懐メロ番組でお見受けする、往年のティナ・ターナーばりのロックシンガーと化した
彼女の姿もセクシーで素敵ですが、まずは、デビュー当時のこの衝撃のアルバムを
聴いてほしい。まさに台湾の至宝、いやいや日本の歌謡曲界の至宝?
そんなこともうどっちでも良くなる、素晴らしい歌手の記録的名盤です。

ちなみに、ボーナストラックには、その後の彼女のヒット曲も収録されていて、
さながらベスト盤としても楽しめるお得な内容となってます。

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RITO MIURA/三浦鯉登
作曲家・ミュージシャン・昭和歌謡研究家

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12 2 月 2010

遠足 Der Ausflug

Author: admin | Filed under: 21.岡島 朗(楽脳), Movie / 映画・映像

それまで気にもとめていなかったことが、
あるときどうしようもなく気になることがあります。
たとえば、顔の中心に隆起している”鼻”の存在のように。

もし、芸術家というものが、
その気にとまったものを
”美”として表現できる人種だと
定義してみることもできるかもしれません。

このドキュメンタリームービーは、
ウィーンにある「芸術家の家」での生活を撮影したものです。

老齢な芸術家だちが、共同生活を行っています。
そして、彼らは、精神疾患の”患者”でもあります。
タイトルである「遠足」とは、
彼らが、開催される展覧会でプラハを訪れる道中シーンから由来されていますが、
もう少し踏み込んで読み解くこともできるいいタイトルです。

気にとめることができる才能は、
日常の生活や社会での人々との交際との折り合いに、
ときどき軋轢を生み出すのかもしれません。

でも、この映画のなかで”美”が生み出される瞬間は、
あまりにもあっさりとしていています。
そのことに驚く実感を忘れたくないと思わせる作品でした。

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okajima_image

AKIRA OKAJIMA/岡島朗
有限会社楽脳 取締役

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