Archive for the ‘21.岡島 朗(楽脳)’ Category

知り合いの若い映画関係者から教えてもらった作品です。
ドキュメンタリームービーというと多少語弊があるかもしれませんが、実際のカンヌ映画祭を舞台に、老獪な映画プロデューサーのサイ・ラーナー氏が”ハッタリ”だけで映画作品の制作を進めていこうとする作品です。

映画が大好きなタクシー運転手、フランクを捕まえて「第2のヘミングウェイ」と名付けて、脚本家としていろいろな関係者に紹介し始めるところから”ハッタリ”がスタート。
サイは、自分が「かつての大プロデューサー」などと揶揄されていることを知っていますが、そこは映画祭期間中のカンヌなので、少し歩けばセレブに出くわす彼は躊躇することなくデニス・ホッパーに監督を依頼したり、ジョニー・デップに主演を交渉します。
そうしたセレブ本人が、”役者”として登場するシーンは思わず笑ってしまいますが、この映画の真骨頂は別のところにあると思います。

それは、プロデューサーの仕事とは何か、です。
しなやかでありながら、自分勝手。わがままでありながら、繊細に人のことを気遣う彼は、人たらしの魅力をいやというほどわかっていて、彼が語る企画(「カンヌ・マン」というこれも笑えるタイトルです)をみんながなぜか信じてしまうのです。
サイが、フランクに対して、かたちのないものを信じ込ませる人間が必要な素行を教え込むシーンなどは思わず唸ってしまいます。

物語は後半大きく展開していきますが、こうしたパロディ作品の中にも、アイロニカルに人間味を盛り込むセンスは素敵だと思ってしまいました。

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AKIRA OKAJIMA/岡島朗
有限会社楽脳 取締役

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先日、映画好きな編集者と話をしていて話題になったのが、この『ティモシー・リアリー』です。
いまの20代30代の方々には、ピンと来ないかもしれませんが、ヒッピー文化(S・ジョブズももちろんその中の重要なひとりですが)の洗礼を何らかの形で受けた人々にとっては、リスト上位の思想的牽引者です。

ポール・デイヴィス監督による、このドキュメンタリームービーは、リアリー自身の貴重なインタビューや伝説の祭典ヒューマン・ビーインの映像などを織り交ぜた構成。
ドラッグ文化や意識革命の実現方法など、当時の息吹のエッセンスを伝えようとしています。
インタビューでは、コンピュータによる新しい権力構造をイメージさせるような言説もあって、興味深いです。

しかしながら、冒頭の編集者とは、「まったく狂ったおじさんだった」とコメディ映画をみる感覚でこの作品を観たと盛り上がりました。
こんな大ボラ吹きいいよね、と。
そして、最後にこんな大ボラは、ありったけの真顔で吹かなければ伝わらないし、エンターテイナーとして立派だと他人事として笑いましたww。

それはともかくとして、この作品の最後、リアリーが亡くなった後の衝撃的な映像は必見です。
こういう作品があるから、ドキュメンタリームービーは面白いと思わされる1本です。

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このウェブサイトを読んでいるという知り合いの女性CMディレクターから薦められたのが、『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』です。

雑役人をしながら、数少ない知り合い以外と会話すらしない”引きこもり”の男は、死後に自室から発見された多くの絵画作品と小説の断章によって、20世紀後半を代表するアーティストのひとりとなりました。
ヘンリー・ダーガーの名前は、回顧展や画集などですでにご存知の方も多いでしょう。
アカデミー短編ドキュメンタリー受賞作家のジェシカ・ユーによるこのドキュメンタリー作品は、彼の作品世界を紹介しながら、シカゴで暮らした時代の”彼の目撃者”によるインタビューによって構成されています。

急激に発展するリアルワールド=都市のなかで、他人との関係を遮断して、自分が築いたバーチャルワールド=非現実な王国にだけ居場所を見出した彼の姿は、奇異に映る反面、とても現代的です。
彼がその居場所で生み出したヴィヴィアンガールズと名づけられた少女たちは、とてもナイーブでセンチメンタルで、そして何よりも怒っているように見えます。

彼の物語は、ジェシカ・ユーによってアニメーションになって本作の中で現実世界にトレースされました。
ダコタ・ファニングのナレーションがついた、そのシーンだけでも、観る価値は十分にある力作です。

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